他国の文化を何でも「自国発祥」にしてしまう韓国の“ウリジナル”(韓国語の「ウリ=我々」をもじった造語)だが、ついに「日本列島は古代朝鮮の領土だった」と言い始めた。
韓国の大学で教鞭をとる日本人教授が、韓国誌『週刊京郷』に「日本列島は古代高句麗領土」との自説を掲載、韓国人ネチズン(ネットユーザー)のナショナリズムに火をつけた。これはただの仮説に過ぎないが、韓国メディアは現在も「古代日本は朝鮮の領土説」を裏付ける根拠として“利用”し続けている。
一方、朝鮮半島に「高句麗」「百済」「新羅」が鼎立した“三国時代”(4~7世紀)に「百済が日本を植民地支配していた」と訴える韓国人学者もいる。その一人が、古代史研究家で高麗大学名誉教授のチェ・ジェソク氏だ。
チェ氏は、「日本書紀」に描かれた「倭国による朝鮮支配」を、当時の日本の航海技術が未熟だったことを理由に真っ向から否定。逆に、日本の地名や山、峠、島、寺院など27の名称に高句麗・百済・新羅・伽耶の地名が使われていることなどを根拠に「日本は古代朝鮮の直轄領土だった」と主張する。
同氏によれば、日本を支配していたのは百済の武寧王(在位501~523)で、1971年に韓国で出土した武寧王の棺が“日本でしか得られない木材”で作られていたことなどが「(百済王が)日本を支配していたことを示す決定的証拠」としている。
韓国学中央研究院名誉教授のパク・ソンス氏も、古代日本の「韓国領土」説を支持する学者の一人だ。パク氏は韓国の保守系オピニオンサイト「コリアン・スピリッツ」(2014年10月26日)のコラムの中で、3世紀末に書かれた中国の史書『「魏志」倭人伝』に触れ、「野蛮な倭人は国の建て方を知らず、日本を植民地支配していたのは百済(*注)の分国“狗邪韓国”だった」と主張。
【*注/魏志韓伝では「伯済」と表記。百済の建国時期は一般的に西暦346年とされているが、紀元前から4世紀まで諸説ある】
また、「その後、九州や奈良には地域総人口の9割を超える150万人以上の百済人が暮らしていたが、日本のあちこちに国を建てた百済人の功績は『日本書紀』から消され、日本人による歴史にすり替えられた」との持論を展開した。ちなみに百済人が建国した奈良は、韓国語で「国」を意味する「ナラ」を語源にしているという。
※SAPIO2016年3月号