平均視聴率39%超。いまだ破られていないNHK大河ドラマの金字塔『独眼竜政宗』(1987年)や、『八代将軍吉宗』(1995年)、『葵 徳川三代』(2000年)の脚本を書いたジェームス三木さんは、現在放送中のNHK大河ドラマ『真田丸』について、こんな独特な言い回しで絶賛する。
「ぼくは面白いかどうか、そういう見方は商売敵だから、しないんです。だって、面白いと、悔しいし、腹立たしいですから。逆につまらなかったら、まったく見ません。『真田丸』はまぁ、毎回必ず見ていますよ(笑い)」
ジェームスさんが最後に大河ドラマの脚本を手掛けた『葵 徳川三代』から15年、『真田丸』は、かつての大河とは隔世の感があるという。
「昔の言葉遣いとか立ち居振る舞い、礼儀作法を(脚本家の)三谷幸喜さんは、あまり気にしていないように感じます。ぼくなんかの時は、時代考証の先生がついて、廊下の歩き方から目配りの仕方や刀の差し方まで脚本も演出も事細かく直されました。『とんでもございません』というせりふはあり得なくて、『とんでもないことでございます』が正しいとか、随分と叩き込まれてね。
それは大河ドラマを見ている視聴者がそういう古い『時代劇らしさ』を求めていた部分も大きかったと思うんですが、今はそういうお年寄りも少なくなったんでしょう。それに詰まるところ、何が事実かなんて、実際に見た人は誰一人いないわけですから(笑い)」
『真田丸』では確かに、武将同士が道や廊下を歩きながらしゃべったり、家来が主君に質問をするなど、ジェームスさんが言う「かつてはあり得なかった場面」がポンポンと出てくる。そういう意味で『真田丸』は、斬新な大河ドラマといえそうだ。
※女性セブン2016年2月25日号