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排卵回数が危険因子となる卵巣がん 少子化の時代にリスク高

 卵巣がんは初期症状を自覚しにくいため、“サイレントキラー”と呼ばれている。下腹部のはりやしこり、頻尿、便秘といった症状が出たときには、かなり進行しているため、すでに末期ということもあるのだ、転移もしやすいため、早期発見・早期治療がなによりも重要といえる。

 卵巣がん発生の危険因子として、排卵回数がある。東峯婦人クリニックの松峯寿美さんが説明する。

「排卵とは、卵巣の皮膜を突き破って、卵子がとび出る現象のこと。あまり知られていませんが、排卵のたびに卵巣は傷つき、修復されています。卵巣がんは、この修復過程で異常細胞が生じて発症する。つまり、排卵を繰り返すたびに、卵巣がんのリスクは上がるのです」

 リスク回避には、妊娠・出産で排卵を止め、卵巣を休ませることも、実は重要だ。だが、5~10人の出産を経験した昭和初期の女性と比べると、現代女性は1~3人。排卵回数は約10倍にもなるため、リスクはより上がっている。

 体の奥深くにある卵巣は直接見たり、触ったりすることができないため、2年に1度は超音波検査が必要だ。とくに、卵巣がんにかかりやすい40~50代の女性におすすめだ。

 また、近年、子宮内膜症が卵巣で進行すると生じるチョコレートのう腫(子宮内膜から出血して卵巣内に血がたまり、とけたチョコレートのようになった状態のこと)が、0.8%の確率で卵巣がんになることがわかってきた。生理のたびに大きくなり、破裂した場合は緊急手術になるため、早期発見が必至だ。

「チョコレートのう腫は閉経しても縮小・消失することは少ないため、良性だと診断された場合も、定期的な経過観察が必要です」(松峯さん)

 手術で切除するのが一般的な治療法で、初期の場合は病巣部分を円錐形に取り除くだけで済む場合もある。

 卵巣がん特有の予防法としては、低用量ピルの使用が注目されている。避妊薬として活用されているピルだが、排卵を抑えて卵巣を休ませる効果があるため、卵巣にかかる負担を減らすことができる。

「とくに初潮年齢の早かった女性や、妊娠・出産経験のない女性は、長期にわたって排卵することになりますから、ピルの活用も予防の1つとして検討してはどうでしょう」(松峯さん)

※女性セブン2016年2月25日号

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