彼女の言葉を借りるなら、「その先の時間が短いということを意識する」のが50才。若さの余韻が残る40代と、人生の後半戦に向かう50代のちょうどその節目に、またも小泉今日子(50才)がやってくれた。
誕生日を迎えた2月4日、〈みんなのキョンキョン、誰も知らない小泉今日子〉という特集を組んだカルチャー雑誌『MEKURU』(ギャンビット刊)が発売された。
無駄なものはないのに、温かみのあるプライベートルーム。本棚に置かれたヴィンテージの人形からは愛着が感じられ、ダイニングの黒いキャブアームチェアは丁寧に磨かれている。その横で、ノーメイクで立ったままたばこをくゆらせる小泉の写真――それは見たことのない彼女の姿だった。
巧みなナチュラルメイクを施した「素顔風」ではなく、眉も半分しかないままの完全なすっぴんをサラリと見せて、自宅の寝室も書斎も洗面所も公開し、アイドルについて女について恋愛について仕事について語り尽くす。そんな彼女の魅力を27人の証言者が浮き彫りにする。
証言者の1人、ドラマプロデューサーの磯山晶氏曰く、《小泉さんがその仕事を選んだという時点で、クオリティは保証される》という、50才にして再び新たな小泉の扉を開くかのような一冊。
『MEKURU』編集長の上田智子氏は言う。
「50才の誕生日にこんな特集を組みたいと小泉さんにご相談したら、“任せる”の一言でこの号が始まりました。証言者のかたがたが口を揃えるのが、小泉さんはフェアな人だということ。年齢もキャリアも立場も関係ない。一度、委ねた仕事はプロフェッショナルとしてすべて任せる。
任された私たち編集サイドのプレッシャーもさることながら、27人の証言者のかたがたも、小泉さんの50才を記念する特集に参加してくださるということで、愛情深く、真摯に『小泉今日子』について語ってくれました」
小泉を女優として開花させた演出家、故・久世光彦夫人の朋子氏は小泉の魅力を《不良であること(笑)。世の中を恐れていない。いつまで経っても、世間の手垢がつかない美しさがある》と表現する。朋子氏が息子の結婚式の招待状を送ると、小泉は「出席させていただきます。私はお父さんの代わりね」と返し、亡くなった光彦氏が座るはずだった朋子氏の隣の席に座ったのだと明かした。
男前エピソードは事欠かない。小泉の親友で、作詞家の小竹正人氏は多額の借金を背負ってしまい小泉にお金を借りたことがあった。
《絶対に返す覚悟で今日子にいくらかのお金を借り、数年後その全額を彼女に返済したとき、「あんた、頑張ってね。ありがとうね。」と、何故か今日子の方が御礼を言いながら泣き出した》