昨年9月、「CoCo壱番屋」の自社工場で製造した冷凍ビーフカツに異物が混入している可能性があるとして、廃棄処分が決まった。しかし、処分を委託していた産業廃棄物処理会社「ダイコー」が、その大半を食品会社「みのりフーズ」に横流しして、東海地方のスーパーなどで販売されていたことが明らかになった。
廃棄されるべきものが転売されるという衝撃の事件だが、一方でそもそも大量の食品を日々廃棄しているという現実を指摘する声も挙がっている。
「もったいない」の観点からより考えさせられるのは、廃棄が「賞味期限」に関連するケースだ。
農林水産省によれば「賞味期限」とは「おいしく食べられる期限」であり、期限を過ぎても食べられないわけではない。ちなみに「消費期限」は「食べても安全な期限」を示し、安全のために期限内に食することが推奨される。
賞味期限を理由とする廃棄には、食品流通業界の習慣である「3分の1ルール」が関係する。このルールでは、まず食品の製造日から賞味期限までの期間を3分割する。最初の3分の1をスーパーなどの小売店に納品する期限とし、次の3分の1が消費者が店頭で購入できる期限。そして購入期限を超えた商品は店頭から撤去されることになる。
たとえば、賞味期限が6か月の場合、製造日から2か月以内に商品を納入し、製造日から4か月を超えた商品は棚から下ろす。食品安全教育研究所代表の河岸宏和さんが解説する。
「賞味期限6か月の場合は、製造日から4か月前後の商品はスーパー側が割引セールをして売り切るか、いったん商品を問屋に戻してから激安スーパーやお弁当屋さんに割安で横流しする。4か月を超えた時点で売れ残れば、そのまま廃棄するケースも多い」
今回、みのりフーズの冷凍倉庫からは廃棄カツのほか、焼き鳥、豚バラ蒲焼き、ビンチョウマグロなどが大量に見つかった。いずれも賞味期限前後に廃棄された食品だが、廃棄カツ同様、一部はスーパーに転売されたとみられる。これも“賞味期限の重視”が招いた不正だ。
※女性セブン2016年2月25日号