数々の高視聴率大河ドラマを手がけたジェームス三木さん、そしてコラムニストの今井舞さんともに注目する今シーズンのNHK大河ドラマ『真田丸』(三谷幸喜・脚本)。2人が目下「主演男優賞」に挙げるのは、昌幸を演じる草刈正雄だ。
「草刈正雄だけは昔の時代劇に見える」(ジェームスさん)
「本当にハンサムで、顔も小さい。草刈正雄だったらこうするだろう、どうやって乗り切るだろうと固唾をのんで見ています」(今井さん)
そうした中で、東京大学史料編纂所教授の山本博文さんが注目するのは、信繁演じる堺雅人が「どこで変わるか」ということだという。
「今はまだ昌幸の後ろに隠れていて、ニコニコとして頼りない雰囲気を醸していますが、ある時点で島津家の古文書に記された『真田日本一の兵』と評される重々しい武将に変貌を遂げるはずです。堺さんは『篤姫』で13代将軍家定を演じた時もやはり途中でガラッと変わりました。その変化を見るのが楽しみです」
ちなみに「主演女優賞」は3人とも昌幸の妻・薫を演じる高畑淳子を挙げた。専門家の目には、現代的な言葉が飛びかう三谷脚本はどう映るのだろう。
「確かに戸惑うところもありますが、そんなことを言っていたら物語が楽しめませんから(笑い)。むしろ、史料からうかがえる、とても細かくて小心者だったという家康の性格が、内野聖陽さん演じる家康のキャラクターに反映されていたり、かなり調べていらっしゃるという印象を受けました」(山本さん)
これから物語は1年をかけて、兄弟が敵味方に分かれて戦う「関ヶ原の戦い」、そして信繁が戦死するクライマックスの「大坂夏の陣」まで描かれることになるが、山本さんはこんな説を唱えている。
「私は家を存続させるために両天秤をかけて敵味方に分かれたということではなく、それぞれ苦渋の選択だったのではないかと思っています。
その上で、実は信繁が兄で、信幸(大泉洋)が弟だったのではないかと思っているんです。幼名は信繁が源次郎、信幸が源三郎だったこと以外に、信繁は上杉景勝、その後、秀吉の人質に出されますが、相手からすれば長男を人質に取りたいと思うはず。信繁が京で豊臣政権の中心メンバーの娘を妻にし、信幸が上野に残り徳川家の家臣の娘を妻にしたのを見ても、主流がどちらかは明らかです。
それが関ヶ原の戦いで信幸が歴史に残ったことから、あくまでも徳川家を最初から主流に考えていたということにするため、信幸を長男としたのではないでしょうか」
さまざまに想像を広げながら、登場人物たちの生き様を楽しむ。大河ドラマはやっぱり面白いです!
※女性セブン2016年2月25日号