米ゴルフツアー『フェニックスオープン』で、松山英樹が1年8か月ぶりに優勝を果たした。次は日本人初となるメジャー優勝へと期待がかかる一方、ゴルフ界ではもう一つの大一番、今年8月に控えた「リオ五輪」での金メダルに弾みがついたと盛り上がっている。
「112年ぶりにゴルフが正式競技として復活するリオ五輪は、4日間72ホール、個人戦のストロークプレーで争われる。松山がプレーオフで破ったリッキー・ファウラー(世界ランク4位)は最強の呼び声高い米国代表選手として出場する予定。そのライバルに競り勝ったことで金メダル獲得も決して夢ではなくなってきた」(日本プロゴルフ協会関係者)
日本代表には男女2人ずつが選ばれると見られ、昨年の国内ツアー最終戦終了時点の世界ランクを基準に、申請者の中から選出される。日本男子は順当に行くと、松山と片山晋呉が選ばれると見られている。
そうなればもちろんエースは松山だ。今回の勝利で世界ランクは自己最高の12位に浮上(2月8日現在)。前出の関係者は、「松山が日本を表彰台へ導いてくれる」と鼻息荒い。
だが一方で、世界では盛り上がりに水を差す事態が起きている。トップクラス選手の五輪辞退が相次いでいるのだ。
理由は五輪の影響で、ツアーが前例のない過密スケジュールとなるため。「全英オープン」が7月14日に開幕し、2週間後に「全米プロ」、さらに2週間後に「リオ五輪」がある。そして五輪後は休む間もなくプレーオフシリーズが始まる。
「移動や時差を考えるとメジャーへの影響が大きすぎる。元世界ランク1位のアダム・スコット(豪州)は早々に辞退を表明した。五輪には賞金がないうえ、着用するウェアのロゴ表示が規制されるなど、選手側にあまりメリットがない。各選手、名誉を取るか、本業を優先するかで選択を迫られている」(ゴルフ誌記者)
松山も昨年11月、五輪について複雑な心境を明かしている。
「本当に難しい。メジャーは生まれた時からの目標だったが、五輪は最近決まったばかり。確かに4年に1度のすごい大会だが、メジャーに比べ人数が少なく、本当にナンバー1を決める大会なのか米ツアーの皆も思っている」
出場選手の最終決定は7月。松山の選択が注目される。
※週刊ポスト2016年2月26日号