この4月1日の番組改編で、テレビの「報道の顔」が大きく変わる。テレビ朝日「報道ステーション」の古舘伊知郎氏とTBS「NEWS23」の岸井成格氏、そしてNHK「クローズアップ現代」の国谷裕子氏が降板する。
いずれも“反安倍”と目されていたキャスターだ。偶然にしては、あまりに政権にとって都合が良すぎはしないか。
調子に乗る政権はさらなる一手を繰り出した。放送行政の責任者、高市早苗・総務大臣が言論統制の“伝家の宝刀”ともいえる「電波停止」に言及したのだ。
問題発言が飛び出したのは2月8日の衆院予算委員会。放送の「政治的公平」を定めた放送法4条について、奥野総一郎・民主党代議士との質疑だった。
奥野氏が「これを恣意的に運用されれば、政権に批判的な番組だという理由でその番組を止めたり、番組のキャスターを外したりということが起こりうる。放送法4条の違反には、放送法174条(業務停止)や電波法76条(電波停止)を適用しないことを明言してほしい」と質問されると、高市氏はこう答えた。
「国論を二分する政治課題で一方の政治的見解を取り上げず、ことさらに他の見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当時間にわたり繰り返す番組を放送した場合」
などと具体的な例をあげたうえで、
「行政指導しても全く改善されず、公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」
電波法では「電波停止」の権限は総務大臣にある。高市氏の答弁は「政府が要請しても放送局が番組内容を改めないときは電波停止もありうる」というテレビ局への“恫喝”と受け止められるのは当然だった。