うつ病は“生涯有病率”、一生のうちに一度は病気にかかる人の割合が、男性は5~12%なのに対し、女性は10~25%と、多くみられる病気だ。気持ちがふさいだ状態が続き、何をやってもつまらなく感じたり、体に不調が表れたら、危険信号。それはうつ病の可能性がある。
うつ病を引き起こすのは、パーソナリティー、ストレス、ライフサイクルの3要素で、とくに女性にとって、ライフサイクルは大きな要因となる。月経、妊娠、出産、更年期といった女性特有のライフサイクルや、それに伴うホルモンバランスの変化が、うつ病の発症と密接に関係しているといわれている。
自由が丘高木クリニックの高木洲一郎さんによると、とくに40~50代の女性は、更年期障害の発症に加え、子供が独り立ちして親の保護を必要としなくなり、肩の荷が降りたと同時に寂しさやむなしさを感じる『空の巣症候群』から、うつ病に発展することも多いという。
精神面に表れる症状としては、気分や意欲、思考の低下がみられる。「周りに迷惑をかけているのでは?」と自分を責めてしまい、「死にたい」と思うようになってしまう人も。体に表れる症状は、不眠や食欲不振、倦怠感や疲労感、肩こり、頭痛など。しかし、そうした症状が表れても、うつ病を疑って、初めから心療内科を受ける人は10%ほどしかいない。
「更年期障害や不定愁訴、自律神経失調症と症状が似ているため、うつ病であることに気づかず、婦人科や内科で治療を受けて、発見が遅れてしまうことが。心と体の不調が2週間続くようなら、心療内科を受診してほしいですね」(高木さん、以下「」内同)
うつ病を早期発見・早期治療するためには、なるべく周囲の人に「つらい」とサインを出すこと。うつ病は真面目で責任感が強い性格の人がなりやすいため、「迷惑をかけたくない」と我慢してしまうことが多いが、早い段階で適切なサポートを受けるためには、周りに打ち明けることが大切なのだ。
症状の改善には薬の効果が期待できる。継続して服用することが大切で、症状がよくなってからも半年から1年間はのみ続け、徐々に減らしていくのが一般的だ。