中国は2月8日が日本の元日に当たる春節(旧正月)。初詣での習慣も日本と変わらず、各地の寺院は初詣で客で大賑わいだったが、そのなかでも、北京で最も大きい寺院である雍和宮は8日の午後4時現在で7万人の客でにぎわった。
今年の初詣でで一番乗りしたのは湖北省から来たという男性で、今年がサル年であるため、孫悟空のいでたちをして、開場まで寒空のなか37時間も待っていたという。参拝客は線香の煙を全身に浴びて、今年一年の健康や家内息災を祈った。北京紙「新京報」が報じた。
ところで、雍和宮はダライ・ラマを最高指導者として戴くチベット仏教ということもあり、ネット上の書き込みでは、「雍和宮の参拝を認めるのならば、ダライ・ラマの中国帰還を認め、チベットでの宗教弾圧を止めるべきだ」との書き込みがみられた。とはいえ、それもすぐに消されてしまったのだが……。今年も中国の言論の不自由さは変わりがなさそうだ。
雍和宮はチベット仏教を信奉する満州族が起こした清朝時代の寺院で、もともとは清の康熙33年(1694年)、皇子時代の雍正帝の居館として建築されたもの。雍正帝が皇帝に即位すると、そのまま住み続けるわけにはいかず、また他の皇族の住居にもできないということもあり、チベット仏教に寄進され寺院となった。
皇子の住居だったこともあり、雍和宮には極めて重要で価値が高い仏像などが多い。雍和宮の万福閣にある弥勒像はダライ・ラマ7世が乾隆帝に献上したものであるほか、国子監は明・清代の科挙試験場だったところ。また、儒教の開祖である孔子を祭った孔廟も存在している。
このため、外国人観光客も多数訪れているほか、北京市民の人気も高く、実は習近平国家主席の妻のファーストレディ、彭麗媛氏も時々、雍和宮に参拝し、チベット仏教の高僧の講話を聞き、人生相談までしているとの情報もある。北京の消息筋によると、この彭麗媛氏もプライベートで人目を避けて初詣でに訪れたという。
このように、ファーストレディでさえ参拝しており、ネット上では「習近平国家主席はチベットでの宗教政策をもっと寛容にすべきだ」などとの書き込みがみられた