大阪府の地域ボランティア団体と地元高校生グループが、府内の約1000人の中高生を対象に行なった「デートDV」に関するアンケートで、衝撃の調査結果が出た。暴言や暴力の被害者は、女子より男子のほうが圧倒的に多かったのだ。
交際相手から暴力を受けた割合は、女子が12%に対し男子は3割超と倍以上の開き。「暴力が嫌と言えない」割合も、女子17%に対して男子は24%。「強い女子と弱い男子」がはっきりと数字に表われた。
アンケートには、「『死ね』『ブサイク』と暴言を吐かれるが、好きなので別れられない」「たたかれて嫌だが男として我慢せざるを得ない」といった男子の彼女に対する悩みが吐露されていた。
だが、若者の恋愛事情に詳しい「恋人・夫婦仲相談所」の二松まゆみ氏にとっては、「なんの意外性もない」とのこと。
「男女関係で男が威張るなど遠い昔の話で、いまや『モンスター彼女』が当たり前。一つの原因は男子の草食化。彼らは自分が我を通してケンカになるよりも彼女にやられるままにしておくほうがいい、と考える傾向にあり、女子は気軽に男子を殴り、草食男子は黙って耐える、という構図が出来上がってしまった。LINEなど恋人の携帯を見たがるのも圧倒的に女子で、男子はそれに逆らえないのです」
なんとも怖い話だが、その背景には、「経済環境の変化」も大きいという。
「男女を問わずいまの若い人はお金がない。かつては男性が圧倒的にお金を持っていて、金銭による男女格差で男性が偉ぶり、女性が付き従う図式が可能になっていたが、いまやその差はほとんどない。むしろ無理矢理デート代を出させられていることを『デートDV』の一つと感じる男子が増えているほど。
つまり、女子が強くなったというより、男子が弱くなったことが、男子のデートDV被害の実態。『できれば男なんて殴ってやりたい』と思う女性は昔からいたが、いまやそれが平気で許される時代になったということです」(同前)
案外、大人に聞いても同じ結果だったりして。
※週刊ポスト2016年2月26日号