【マンガ紹介】『マンガ サ道~マンガで読むサウナ道(1)』タナカカツキ/講談社/605円
水風呂のないサウナはいちごののっていないショートケーキ――。サウナ=熱くて息苦しい場所と考えていた私のような素人に、本当の作法とその魅力をレクチャーし、サウナ賛歌を謳い上げる『マンガ サ道~マンガで読むサウナ道』。
なかでも著者が繰り返し強く説くのは水風呂の重要性。熱いあの場所は「サウナ室」であって、サウナとは、サウナ室→水風呂→休憩のセット(×3回)で完成するもの…って全然知らなかった!! ちょこっとサウナ室に入って嫌になったら水風呂なんぞ見向きもせずとっとと退散してました。
しかし水風呂後に椅子に腰かけてからが本当のお楽しみタイムだったのです。〈じーんと身体がしびれてきて ディープリラックスの状態がやってくる/酸素が体中を駆け巡り、脳に酸素がゆきわたる/やがて多幸感……サウナトランス〉そして口から出る言葉は〈ととのったァ~~〉。
…何を言っておるのだとお思いでしょうが、これを完璧な画面構成と絶妙なギャグ加減で見せられると思わずごくりと唾をのむほどに興奮。〈サウナ後の水風呂 これが合法だなんて……〉というこれまたどうかしている著者の言葉にも「まじすか…」と完全に同調。
そこに描かれているものを自分も体験したい、と読者に思わせるのはマンガの得意分野ですが、本作のその力の強さよ!
ただ水風呂の温度が高すぎたり、テレビがうるさかったりと避けるべき施設もある様子。連載時は「どこに行けばいいの!?」と思いつつ読んでいたのですが、単行本には全国おすすめの施設リストが! ていうかうちの近所の施設もあった!! 私が「ととのう」日も近いようです。
(文/門倉紫麻)
※女性セブン2016年2月25日号