北海道日本ハムファイターズのアリゾナキャンプには連日メジャーのスカウトたちが訪れ、大谷翔平に熱視線を送っている。
現8日には、初の対外試合となる韓国ロッテ戦に「3番指名打者」で登場し、2打数1安打。同10日には同じく韓国ロッテ戦に先発して2回を1安打無失点4三振。15球団50人を超えるメジャーのスカウトたちを唸らせた。
「ネクスト・ダルビッシュだね。今は投手の方が技術的に優れているが、打者としても素晴らしい」(ジャイアンツのスカウト、ジョン・コックス氏)
ナショナルズのスカウトで元広島監督のマーティ・ブラウン氏も高評価だ。
「前田(健太)のルーキー時代より上だ。投打の二刀流のレポートを書いたのは初めてだよ」
大谷は入団前から、将来のメジャー挑戦を公言しており、球団も容認しているとされる。気になるのは代名詞である「二刀流」が、アメリカでどう評価されているかだ。在米のスポーツジャーナリストが語る。
「キャンプ初日から3日連続で視察したパドレスのグリーン監督が“投打両方で使いたい”と明言するなど、二刀流を評価する声もある。しかし実際、メジャー関係者の本音は投手一本です。パドレスのプライアー投手コーチやホフマン特別GM補佐といったメジャーのレジェンドが、熱心にチェンジアップを指導していたが、打撃指導をする人はいない」
メジャー研究家の福島良一氏も同意見。
「よく打つ投手は何人かいたが、同一シーズン10勝&10本以上の二刀流となれば1910年代のベーブ・ルース以来、世界最高峰のメジャーでは出ていません。メジャーのスカウトも、100マイル(160キロ)を投げる投手としての魅力を買っている。
当初はDH制がないナショナルリーグなら、大谷の魅力を最大限に発揮できるかも、などといわれていましたが、そのナ・リーグもDH制を導入する動きが出ている以上、尚更投手に専念することになるでしょう」
日本でも投手としての評価ばかりが上がっている大谷。メジャーの判断もあり、そろそろ二刀流は見納めとなるのか。それはそれで寂しい気がするのだが。
※週刊ポスト2016年2月26日号