2016年は日本を代表する大企業で、相次いで「トップ交代」が発表されている。国内外の経済情勢が先行き不透明ななか、企業の舵取りを任される新社長たちは上昇気運に乗れるのか──。
特に注目が集まっているのが、マイナス金利導入で揺れる銀行業界だ。業界トップの三菱東京UFJ銀行は、4月に平野信行頭取(64)から小山田隆副頭取(60)にバトンが渡る。金融ジャーナリストの森岡英樹氏がいう。
「小山田氏は銀行の舵取りを担う企画畑を歩んできた人で、営業部でも活躍した。穏やかで部下からの信頼も厚く、以前から“大本命”と目されていた。
マイナス金利導入後、株価が大幅に下落している逆風のなかで予定通りの人選となったのは、突発的な事態にも行内のバランスを取りながら柔軟に対応できる調整力を買われてのことでしょう」
同じ三菱グループの中核企業である三菱商事もトップが代わる。原油をはじめとする資源価格下落の影響で、商社業界全体の業績が落ち込む中での交代となる。
「4月に社長に昇格する垣内威彦常務執行役員(60)は食料畑の出身。2013年に生活産業グループのトップになってからは2年で純利益を倍増させた実績を誇る。垣内氏の下で非資源分野をさらに伸ばせるかに注目が集まっている」(経済ジャーナリスト・小泉深氏)
垣内氏は資源分野の苦戦を穴埋めし、収益構造を変えることが求められている。
損保業界では、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパン日本興亜の「3メガ損保」が4月以降に揃って社長交代することが発表されている。これには業界の事情がありそうだ。
「保険業界も新たなビジネスが求められている。損保ジャパンの社長に就任する西澤敬二副社長(58)が『ビッグデータの活用などデジタル化に積極投資し、最先端技術を使った保険商品を開発する』と意欲を語っているように、メガ損保がいずれも改革を急がれていることは間違いない」(同前)
※週刊ポスト2016年2月26日号