安倍晋三氏の首相再登板から3年が経ち、側近の出世競争に差がついてきた。昨年10月の内閣改造では、官邸を支えてきた2人の内閣官房副長官のうち、加藤勝信氏が看板大臣である一億総活躍担当相に抜擢されたのに対し、もう一人の世耕弘成氏は留任となった。
加藤氏は額賀派でいわば「外様」にあたるのに対し、世耕氏は細田派の「安倍譜代」で議員経験も5年長い。側近の間では、それでも加藤氏が逆転したのは、
「加藤氏の義母が安倍首相の母の洋子さんの側近で家族ぐるみのつきあいの長さがものをいった」
「世耕さんの再婚相手、民主党の林久美子代議士が安倍批判を続けているのがマイナス査定」
などとみられている。よほど悔しかったのか、世耕氏はブログにこう綴った。
〈同僚の加藤副長官は入閣したが、私は留任。総理の専権事項の人事のことなので理由はわからないが〉
その加藤氏の後任の官房副長官に抜擢されたのは、当選4回の萩生田光一氏。最近、菅義偉官房長官に急接近と噂だが、この人事も波紋を呼んだ。
自民党幹部がいう。
「安倍側近には入閣適齢期の議員が多い。当選6回の河井克行氏や衛藤晟一氏、当選5回の柴山昌彦氏という総理補佐官たちはいずれも官房副長官を狙っていたが、政治キャリアが下の萩生田氏に追い抜かれてしまった。政治家の嫉妬はすさまじいから、官邸はギクシャクしている」
いまや安倍「お友達内閣」の実相は、「お友達じゃない(内)閣」になっている。
※週刊ポスト2016年2月26日号