「スー女」という言葉をご存じだろうか。近年の相撲人気を支えている「相撲好き女子」のことだ。
「カッコイイというより可愛い」(20代・家事手伝い)
「目を付けた幕下の力士が番付を駆け上がっていくと我が子の成長のようで嬉しい」(30代・OL)
などという理由で、国技館や地方巡業には若い女性が詰めかけている。その中で最近増えているのが、力士を結婚相手として狙うスー女の存在である。
大関・琴奨菊の祐未夫人も、元々はスー女だった。
「学生時代に国技館で外国人客を案内するアルバイトをしていた。同郷の琴奨菊にターゲットを絞ると、手作りの名刺を渡してメールを開始し、食事に誘ってプレゼント攻勢。ケガした時は献身的に看病、婚約者と破談した時は良き相談相手になり、琴奨菊の十八番を奪う“がぶり寄り”で心を掴んだ」(相撲担当記者)
そして初場所限りで引退し「安治川」を襲名した元幕内・土佐豊と、『乳輪占い』で人気のアイドルマジシャンの小泉エリも同様。
「4歳から相撲観戦が趣味という小泉は2009年、知人を介して土佐豊と知り合い、番付表をもらうため直接連絡を取り合い始めて交際開始。土佐豊がケガをすると“ミラクルが起きる”と何度も激励メールを送って結婚にこぎつけた」(同前)
「力士の妻」はスー女にとっては憧れのポジションといっていいだろう。だが良いことばかりでもない。結婚すると角界独特の事情に巻き込まれることになる。ある若手親方は、「例えば、琴奨菊夫人と安治川親方夫人とでも雲泥の差がある」と語る。
「大関・琴奨菊はすでに年寄株・秀ノ山を取得している。引退後は年寄を襲名し、独立して部屋を興すだろうから、祐未さんはおかみさんとして部屋の運営を手伝うことになる。
だが安治川親方の方は少々大変だ。安治川は前頭・安美錦が持っている年寄株を今は借りている状態。初場所後に行なわれた理事選の1票のため土佐豊が強制引退させられ、その際に貸し出されたものとされる。37歳の安美錦が引退すれば返さなければならない。そうなると廃業の可能性が高くなるが、その後は飲食店を開くのがパターン。力士と結婚しても好きな相撲に最後まで携われるとは限らない」
スー女には“目利き”も必要ということらしい。
※週刊ポスト2016年2月26日号