1976年の『犬神家の一族』から始まり、『セーラー服と機関銃』、『時をかける少女』など日本の映画史に残る数々の名作を作ってきた角川映画も、今年で40周年。2016年1月にはそれを記念して廉価版のDVDが一挙30作発売された。いま見ても新しい、角川映画の魅力を紹介する。
「角川映画の凄さは、何といっても“メディアミックス”の手法を確立したところ」そう語るのは、日本アカデミー協会員でもある、お笑いコンビ・シンデレラエキスプレスの渡辺裕薫さん。
「いわゆる角川さんは出版社さんで、人気作家がいっぱい。映画がヒットすれば原作の単行本も売れ、それがテレビで放映されてさらに人気が出る…という一連のサイクルを確立し、大手の映画会社に対抗しました」
また、出演している女優も大変魅力的だったと、芸能・ノンフィクションライターの石田伸也さんは振り返る。
「薬師丸ひろ子さん(51才)、原田知世さん(48才)はもちろん、宮沢りえさん(42才)も角川映画がきっかけで女優の道へ。『僕らの7日間戦争』を撮り終わった後、高校には行かずに女優になろう、と決心したそうです」
女優だけでなく、角川映画は監督も育ててきた。
「森田芳光監督(享年61)や井筒和幸監督(63才)など、新人監督を次々と起用。当人にとって下積みがなく、予算も潤沢な角川映画は魅力的でした。その一方、当時の社長だった角川春樹さんは若手監督に厳しく、ラッシュ(映像を簡単につないだもの)を見て“違う”と思うと社長室に呼び出すことも。そんな環境で“職業監督”としての力をつけたかたがたが、のちの日本映画を支えてきたのです」(渡辺さん)
※女性セブン2016年3月3日号