腰が痛い、関節が痛い、腎臓が悪い、肝臓の調子が悪い…人間が年をとれば病気がちになるように、猫も加齢とともに病気にかかりやすくなる。目立つのは、腎疾患や泌尿器系の病気だ。東京猫医療センターの服部幸院長はこう語る。
「猫の腎臓は人間や他の動物に比べて、老廃物を処理するネフロンという構造物の数が少ないため腎臓病になりやすい。また、オス猫は尿道が細くて長いため結石が詰まりやすいのが特徴です。トイレのポーズをとっているのにおしっこが出ていないというときはすぐに動物病院に行きましょう」
目の病気やウイルス感染にも気をつけたい。それは、猫の特徴と大きく関係している。
「猫の目は大きくて地面に近いほこりっぽい場所を歩くので目の病気や風邪などの感染症に弱いんです」(「All About」猫ガイドの岩田麻美子さん)
病気のサインは、エサや水の量や、おしっこの量、ウンチの硬さなど普段の生活に表れる。見逃さずに早めに病院に連れて行ってあげることが肝心だ。ストレスに弱い猫は、病院選びも慎重に。選ぶ基準は?
「動物病院は自由診療なので、診療費は病院によってピンキリです。なので、値段を基準に選ぶのは難しい。病院の清潔感はもちろんのこと、いちばんは猫と医師の相性。猫が好き、猫を飼っている先生や、セカンドオピニオンを嫌がらないなど、人柄で選んでください」(服部院長)
【猫の病気】(病名/症状/治療の順)
●上部気道感染症(いわゆる猫風邪)/鼻水、くしゃみ、発熱、目ヤニ、よだれが多い、など。/抗生物質、抗ウイルス薬の投与。ワクチンで予防もできる。
●猫下部尿路疾患(尿路結石含む)/頻繁に排尿姿勢をとる、排尿時間が長い、血尿が出る、トイレ以外の場所で排尿するなど。/原因によって食事療法や抗生剤投与、結石を取り除く手術など。
●慢性腎臓病/水をたくさん飲む、食欲低下、体重が減る、嘔吐などの消化器症状。/病気の進行度合いによって食事療法や点滴、薬などで治療。
●糖尿病/水をたくさん飲む、食欲はあるのに体重が減る、嘔吐、フラフラ歩く、など。/食事療法やインスリン注射など維持治療が必要。
●リンパ腫(リンパ節やリンパ組織から生じた悪性腫瘍)/体重減少、嘔吐や下痢、けいれん発作、呼吸が荒い、など発生部位によって多様な症状が出る。/化学療法(抗がん剤)や放射線療法などを組み合わせて治療する。
●結膜炎/目が赤い、涙や目やにが多い、目が開けられない、かゆがっている、など。/抗生物質点眼や洗眼など原因によってさまざま。
※女性セブン2016年3月3日号