猫の発するサインで、チェックしたいのがヒゲの動きだ。顔や前足の後ろに生えているヒゲには、たくさんの神経が通っていて物との距離を測ったり障害物を避けたりするなど、センサーのような働きをしている。
All About猫ガイドの岩田麻美子さんはこう語る。
「普段はだらっとしていて、リラックス状態のヒゲがピーンと前に張っているのは、緊張したり驚いたり威嚇しているサインです。耳の動きと併せてヒゲも見るとさらに気持ちがわかるようになります。ご飯を食べるときは邪魔にならないよう後ろ向きになりますよ」
気持ちを表すだけでなく、生きるために重要なセンサーのため、自然に生え変わって抜け落ちるのは問題ないが、折れた場合は病院で診てもらったほうが良い。
耳やヒゲ以外にも、その行動や仕草からも猫の気持ちは読み解ける。謎な行動が多い猫、例えば突然、スイッチが入ったようにダッシュすることってありませんか?
「トイレでウンチをする前後に暴れ回る子が多いですね。野生でウンチをするのは、においで敵に襲われる可能性があり、覚悟がいること。ウンチの前後は気合を入れているんです」(岩田さん)
喉をゴロゴロと鳴らすのも猫ならでは。甘えているかと思いきや、それだけではないと岩田さんは言う。
「お母さんが生まれたての赤ちゃんに授乳するとき、喉をゴロゴロ鳴らし、子猫も同じように鳴らして応えます。猫にとってゴロゴロできるのは、お母さんと一緒にいる最も安心できる幸せな時間。一方、病気でつらい時に、自分を落ち着かせるためにゴロゴロすることもあります」
よく見る猫の動き、実はこんな気持ちなんです! 猫の気分を考えないで接すると、猫にとってはストレスが溜まるばかり。表情や耳、ヒゲ、動きを観察してコミュニケーションを図ろう。
【仕草でわかる猫の気持ち】
●体をペロペロ
自分の体をキレイにする、食事をしたあとそのにおいを消す、などの他に、「精神安定のため」体を舐めることがある。
●おなかを見せてゴロン
動物にとって急所であるおなかを見せるのは、安心してリラックスしている証拠。でも中にはおなかをみせるのが苦手な子もいる。
●両手でモミモミ
やわらかい毛布やクッションの上でモミモミするのは、小さな頃にお母さんのおっぱいを揉むのを思い出しているから。「眠たいよ~」「甘えたいよ~」のサイン。
●手をペロリ
手をキレイにしたり、気持ちを落ち着けるため。そのほか肉球には汗腺や臭線があるので自分のにおいが確認できる。
●カプッと甘噛み
「もうやめて」「しつこくしないで」のサイン。イライラしているので、これ以上触るのはやめましょう。
●顔をゴシゴシ
ほかの動物に襲われないように念入りにご飯のニオイをふき取ったり、大事なヒゲをお手入れしたり。
※女性セブン2016年3月3日号