「今回の報道は怖くて少ししか読んでいないのですが、彼は(まるであの事件がなかったかのように)ごく普通の生活を送っているんですね……。しかも、取材した記者の人に何か危害を加えるつもりだったようにも読めます。読んでいて恐ろしさを感じました」
そう語る織田史子さん(仮名)は、1997年に神戸連続児童殺人事件で当時14歳だった「元少年A」にナイフで腹部を刺されたものの、奇跡的に生還した被害者女性だ。
「結局、彼は何も変わっていない気がします。まだ殺人者のままというのか……また人を傷つけようという気持ちが生まれているんじゃないでしょうか。そうとしか読めなくて」(史子さん)
事件から18年目となる昨年6月に『絶歌』(太田出版刊)と題する手記を発表したAに直撃取材した『週刊文春』(2月18日発売号)の内容に、史子さんは心底恐怖を覚えたという。
記事では記者に「命がけで来てんだろ」「お前、顔と名前、覚えたぞ」と薄ら笑いを浮かべながら叫び、その場を離れようとする記者を追いかけ回す様子が描かれていた。
史子さんの指摘する通り、医療少年院での治療を経て2005年に“社会復帰”したAの更生を強く疑わせる内容だった。
※週刊ポスト2016年3月4日号