日韓合意後の声明文で日本政府は、慰安婦について「日本軍の関与」の下、「女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」問題と認めた(2015年12月28日)。これにより、海外メディアには、「日本が軍による性奴隷の強要を認めた」との認識が広がっている。
米ワシントン・ポスト(同日付)は、〈日本軍は韓国を含む占領国出身の20万人もの女性や少女に性奴隷となるよう強要した〉と報じた。同じく日韓合意について詳細に報じた英ガーディアン、英BBC、米ウォール・ストリート・ジャーナルなども同様の認識を示した(いずれも電子版)。
しかし、改めて指摘するが、慰安婦は戦時下の「公娼」であって「性奴隷」ではない。また、朝鮮半島や台湾では軍など公権力による強制連行は確認されていない。
当時の朝鮮半島では貧困などを理由に親が娘を身売りする事態が相次ぎ、中には悪質な民間業者に騙され、半ば強制的に慰安婦となった女性も残念ながら存在したが、大多数は自らの意志で働いていた。しかし、そうした事実に触れている記事はほとんどない。
◆「毎日40人の日本兵を相手にさせられた」──元慰安婦の証言をそのまま紹介
「誤解」と「偏見」の最たるものは、英国の大衆紙サン(2015年12月30日付)が〈1日40人の兵士との性交を強いられた─日本がついにおぞましい“慰安婦”制度を謝罪〉との見出しで報じた記事だ。
同紙は13歳の時、朝鮮北部の自宅から警察官に拉致されたというチョン・オクスン氏の以下の証言を引用する。
〈私たちは、性奴隷として、毎日40人もの数を相手にしなければならず、5000名を超える日本兵とのセックスを強要されました〉
〈抵抗すると殴られてぼろ切れを口に突っ込まれました〉
〈服従するまで、局所にマッチ棒を突っ込まれたこともありました〉
これらの証言は、1996年2月に国連人権委員会に提出された、いわゆる「クマラスワミ報告」からの引用だ。