『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』なでお馴染みのピクサー・アニメーション・スタジオが制作する新作『アーロと少年』が3月に公開される。恐竜と少年の友情と冒険を描いたこの作品のプロデューサーであるデニス・リームさんに、お話を伺った。リームさんを含め、ピクサーのプロデューサー8人のうち女性は5人だという。
──いきなりですが、俳優を志したことはないんですか? とっても魅力的ですけど。
オー、ノー、ノーノー!(と、顔を真っ赤にして大きく手を振り)まったくありません! 私はカメラの後ろにいる人間で、とってもシャイだし、とんでもございません!!
──クリエーターの気分転換ってどんなことをするのでしょう?
いちばん好きなのは読書ですが、料理もガーデニングも編み物も、乗馬や水泳、もちろん映画鑑賞も…。あれ? これって全部ひとりですることだわ。「なんて寂しい女!」と、自分でも今思っちゃいました(笑い)。ですが、実はフィアンセがいて、今年中に結婚したいと思っています。
──彼はどんな人ですか?
『スター・ウォーズ』シリーズの視覚効果のスーパーバイザーをしています。
──ということは、監修者? すごい! ステキですね。
実はその分野では名のある人(ロジャー・ガイエットさん)なんです(笑い)。共通の話題があり、仕事も理解し合えて、いいパートナーです。
──うらやましい限りです。『アーロと少年』は、言葉を超えた絆のお話ですが、スマホなどツールの発達で、ずいぶんコミュニケーション下手になってしまった私たちが、忘れていた大切なことを教えてくれる作品だと思いましたが…。
この作品は、言葉でのコミュニケーションを持たない恐竜と人間の子供が、冒険をしながら心を通わせていく物語で、ともに成長していく姿に、民族や国や生い立ちを超えて、誰もが共感できると思います。それに少年スポットのかわいらしさは、誰もが好きにならずにはいられないはずです。
──そうですね~。アーロとスポットが急峻な崖を越えていくところや濁流にのまれるところは、気づくと感情移入してしまって本気で足が震えました。
ええ、雄大な大自然の描写も素晴らしいんです。私も高いところが得意ではないので、崖を行くシーンではドキドキしましたから(笑い)。作り手として100回以上見ていますが、何度見てもあきないし、見るたびに新たな味わいを感じています。
【取材を終えて】
ファッションも人柄も、そして発言も、飾り気がなくてそれでいて存在感がある。敏腕プロデューサーは、なんともさわやかな女性だった。
取材・文■由井りょう子
撮影■矢口和也
※女性セブン2016年3月10日号