国際情報

中国慰安婦研究の第一人者「慰安婦の被害者は40万人」

検証されないまま証言が掲載されている『中国人慰安婦』

 南京大虐殺に続き、慰安婦資料のユネスコ世界記憶遺産登録を目指す中国の動きが活発だ。ユネスコの審議には中国人学者による慰安婦本が重要参考文献として提出される見込みだが、その中身はどのようなものなのか。明星大学・高橋史朗教授が解説する。

 * * *
 慰安婦問題を巡る日韓合意が発表された直後の昨年12月31日、米・CNNテレビに中国慰安婦研究の第一人者、蘇智良教授が登場し、「慰安婦の実際の被害者は40万人で、そのうち20万人は無給で売春を強要された中国人であった」と述べた。蘇教授は上海師範大学で教鞭をとる傍ら、同大の「中国慰安婦問題研究センター」所長を兼任。慰安婦資料のユネスコ世界記憶遺産登録をけん引するキーマンでもある。

 蘇教授は一昨年、同大学・陳麗菲教授、米・バッサー大学の丘培培教授と共著で『中国人慰安婦─日本帝国の性奴隷からの証言』(英題:CHINESE COMFORT WOMEN)を発表。英・オックスフォード大学出版から刊行した。同書は、中国人慰安婦12人の証言を中心とした研究資料で、今後、記憶遺産登録のための重要参考文献として中国側から提出されると見られている。

 その中で蘇教授は、慰安婦総数を「40万人」とし、半数が中国人だったと主張した。ただし、これは300万人の日本兵に対する慰安婦の「割合」を蘇教授が推算したもので、合理的根拠は皆無だ。

 また、同書は日本の左派学者たちの研究を下敷きとしているが、特に「田中ユキ」など複数のペンネームを使い分け、日本の戦争犯罪を批判してきた元広島市立大学教授・田中利幸氏の著作内容が数多く反映されている点について注意を払わなければならない。

 というのも、田中利幸氏の英文著書には『知られざる恐怖』や『日本の慰安婦─第二次世界大戦と米占領下の性奴隷と売春婦』があり、前書ではニューギニア戦の一部で日本軍が組織的かつ慣行的に人肉食を行ったかのように書く一方、英米軍の戦時性暴力について「見当たらない」としている。これらはともに事実に反する内容だ。

 後書は慰安婦に対する日本軍の強制性を裏付ける資料として流布され、2007年7月の米国下院「対日非難決議」の根拠となった。それらの資料は「性奴隷」という言葉を国際社会に広め、『中国人慰安婦』にも引用された。

トピックス

安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段通りの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
《名誉毀損で異例逮捕》NHK党・立花孝志容疑者は「NHKをぶっ壊す」で政界進出後、なぜ“デマゴーグ”となったのか?臨床心理士が分析
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
昨年8月末にフジテレビを退社した元アナウンサーの渡邊渚さん
「今この瞬間を感じる」──PTSDを乗り越えた渡邊渚さんが綴る「ひたむきに刺し子」の効果
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
「秋らしいブラウンコーデも素敵」皇后雅子さま、ワントーンコーデに取り入れたのは30年以上ご愛用の「フェラガモのバッグ」
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン
近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン