タテ社会のテレビ界には、昔から大御所による若手いじめがよく行なわれていた。若手芸人が先輩たちにいじめられる姿が思い浮かぶが、それはドラマの世界も同様。主演クラスの役者に気に入られるかが鍵を握る。
「撮影期間中に主役級の女優さんが主催する食事会が開かれると、そこにひとりだけ呼ばれていない出演者がいたりします。急に人気が出始めた女優さんで、わざと彼女が出席できない日を選んで開催するんです。そして食事会では、“大女優気取りね”とか“生意気よ”などと彼女の悪口を餌に盛り上がっている。
ヘアメイクやスタリストなどの裏方さんに気に入らない若手女優の悪口を吹聴して評判を下げたり、楽屋のネームプレートを隠したりする人もいると聞いたことがあります」(制作会社スタッフ)
女の世界は女優も芸人も一緒のようだ。バラエティ番組の放送作家がいう。
「ある中堅女芸人・Oさんは、番組で共演する後輩女芸人と衣装の色がかぶったことがありました。それを知ったOさんは後輩の衣装をハサミで切り刻んで、着られなくしてしまったことがありました。
そのOさんは別の後輩芸人にも“その髪型、ヘン”と難癖を付けて、その場で前髪をバッサリ切ったこともあるといいます。その後輩は事務所を辞めましたから、相当ツラかったんでしょうね」
一方で、何をされても意に介さない女優もいるという。
「撮影時以外は楽屋に閉じこもることで有名な若手女優のTさんです。そうした態度を彼女を快く思わない共演者が彼女の背中に落書きした紙を貼ったことがある。周囲はヒソヒソと笑っていたんですが、Tさんは“あれ、ゴミがついている”と何事もなかったように受け流したので、むしろスタッフの好感度は上がりました」(同前)
とはいえ、Tのように肝の据わった出演者はごく一部。テレビ界のいじめを苦にして、テレビから姿を消してしまった芸能人も少なくない。
※週刊ポスト2016年3月4日号