投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が2月29日~3月4日のドル・円相場の見通しを解説する。
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ドル・円はもみあいか。英国の欧州連合(EU)離脱懸念や米追加利上げ観測の後退を背景に市場のドル買い意欲はやや薄れる一方、円買い基調は続きそうだ。
ただ、3月4日発表の米雇用統計(非農業部門雇用者数)は前回を大きく上回る可能性があるため、ドルを積極的に売り込みづらい展開となりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げにやや前向きな姿勢を見せた場合、値ごろ感でドルを買い戻す動きがみられる可能性がある。
なお、26日から上海で開かれている20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、世界経済の成長を促進させるための対策について主に議論されるもようだ。各国が財政刺激策を導入することによって需要を創出することができれば、世界経済を持続的な成長軌道に乗せることが期待できるとの声が聞かれている。
中国は財政出動には前向きのようだが、ドイツは反対の立場のようだ。日本を含めた主要国の多くは政府債務の規模が膨らんでいることから、財政出動の余地は小さいとの見方が一般的。
日本やユーロ圏は、中央銀行による大規模な国債購入やマイナス金利の導入などで金利上昇は抑制されているが、需要創出につながる新たな投資は拡大していない。世界経済の成長促進につながる財政出動の重要性についてG20が共通の認識を持てない場合、経済の先行きに対する不透明感は強まり、リスク回避的な取引が増える可能性がある。
【米2月雇用統計】(3月4日発表予定)
市場予想では、2月の非農業部門雇用者数(前月比)は前回(1月)+15.1万人だったのに対し、+19.5万人、また失業率は前月と変わらずの4.9%と予想されている。非農業部門雇用者数が前回を大きく上回ればドル買いの可能性はあろう。
2月29日-3月4日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。