2月2日、清原和博容疑者(48才)を覚せい剤取締法違反容疑で現行犯逮捕した「警視庁組織犯罪対策部5課」の捜査班。銃器や薬物事件を扱い、通称“組対5課(そたいごか)”と呼ばれる。2年以上にもおよんだ執念のミッションを成し遂げたが、そんなプロ中のプロが行う捜査でも、ときに失敗もあるという。警視庁元刑事で薬物捜査の経験もある吉川祐二さんは、こう語る。
「清原容疑者の場合は大家から借りたキーで部屋に入っています。ノックして入ることはありません。薬物をトイレなどに流されると証拠がなくなるので、裁判所からの令状を持って、向こうからドアを開けるタイミングで、またはキーを借りて突入します。それでも流されて、これまで積み重ねてきた捜査が全て水の泡になってしまうこともある。実際、私も経験しました」
失敗が許されない長期にわたる内偵捜査。捜査員になれるのは、いったいどんな人なのか。
そもそも、組織犯罪対策部という名称の組織は警視庁と一部の都道府県警察にしかない。地方の警察や警察署にも組対5課に対応する薬物担当はあるが、1つの薬物事件に専従できるのが組対5課などの特徴だ。
「私は所轄である新宿署の薬物担当でした。所轄が仕入れた情報なら中心になって動くのは所轄ですが、本部の組対5課に応援を頼みます。所轄では、ほかの事件や署のイベントなどもこなすので、専従できる組対5課の捜査員が必要になるからです。組対5課に配属されるのは、そうした所轄で訓練を積んだ優秀な人たちです」(吉川さん)
女性捜査員も活躍している。清原容疑者逮捕の際にも女性捜査員が一緒にいたことが話題になった。捜査を進める上で、女性捜査員の存在は極めて重要だ。
「尾行や張り込みをするときにはいろいろなパターンがあります。薬物捜査の場合は、ラブホテルが使用場所に使われることも少なくありません。その場合、男性同士だと不審に思われるので、女性捜査員が必要になります。
また、“セダンタイプの車の運転席と助手席に男2人が乗っていたら刑事”という話がまことしやかに広まって警戒されているので、あえて1人が後部座席に座ったり、男女ペアでカップルを装うこともあります」(吉川さん)
現場では、体に触れて隠し持っている薬物を捜すといった身体検査が行われることがある。下着の上からさっと触れてチェックすることがあるなど、酒井法子(45才)が逮捕された際にはその方法が話題になった。だからこそ、女性捜査員は必要になる。
「容疑者が女性の場合や、容疑者と女性が一緒にいることがあります。その場合、女性の身体検査も必要になりますが、男性捜査員が女性の身体検査をするのは、やむを得ない場合を除き、原則的に禁止されています」(吉川さん)
※女性セブン2016年3月10日号