1月末の「マイナス金利導入」は日本経済にとって大きなサプライズだったが、3月には早くも黒田東彦総裁率いる日銀が「追加金融緩和」に動くとの観測が広がっている。ケイ・アセット代表の平野憲一氏が言う。
「アベノミクスの一環でGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は年金の積立金を株に投資し始めた。ところが昨年9月末の時点で7兆円の評価損を出してしまった。
このまま株安が続けば、評価損はその倍の15兆円にも達してしまう。少なくとも3月末に日経平均が1万8000円ぐらいになっていないとメディアの批判が強まる。3月緩和は十分に有り得る」
現在の為替水準はマイナス金利導入直前どころか、2014年10月末の「黒田バズーカ第2弾」以前まで巻き戻されるほどの大幅な円高となっている。
「追加緩和は火に油を注ぐだけ」(大手銀行ディーラー)という反対論も多いが、サプライズを迫られる黒田総裁は何らかの仕掛けをしてくる可能性が高い。平野氏は「日銀にはまだカードがある」と話す。
「マイナス金利幅の拡大、それが手詰まりになったとしても、国債の資金供給量の増加という手もある。なにしろ“いくらでも手はある”と黒田さんは自信満々ですからね」
それを金融政策の混乱とする指摘もあるが、「株価の押し上げ効果」という意味では期待してもよさそうだ。
※週刊ポスト2016年3月11日号