ビジネス

「タンス預金用」に売れる金庫 本当に買う意味はあるのか

売れ行きは好調(日本アイ・エス・ケイの金庫)

 ネットを通じた商取引、電子マネーなどが注目を集める時代なのに、なぜか昔ながらの「金庫」がバカ売れしている。ホームセンターの島忠・府中店の担当者も売れ行きに驚きを隠せない。

「2月に入ってからの金庫の売り上げは、昨年9月までと比べて約4倍に伸びています。ダイヤルと鍵で二重ロックの掛けられる商品が人気で、3万~8万円の価格帯の在庫が品薄になっています。商品によっては2~3週間お待ちいただいている状況です」

 人気急上昇のきっかけは昨年10月のマイナンバー導入だ。“銀行預金などの資産が当局に把握される”というイメージから、現金を手元に置きたいと考える人が増えたとみられている。

「タンス預金の需要増を見込んで、昨年10月から金庫の展示コーナーを拡充したことが奏功しました。幅広い年代のお客様にご購入いただいています」(同前)

 さらにブームを後押しするのが、1月に発表されたマイナス金利導入だ。経済ジャーナリスト・荻原博子氏はこういう。

「『マイナス金利』は、あくまで日銀の当座預金の金利の話なのですが、“自分たちが預けている銀行の預金金利もマイナスになる”あるいは“銀行の経営が厳しくなって手数料が上がる”といったイメージから、タンス預金を志向する消費者が増えたと考えられます」

 マイナス金利導入が発表された1月29日には、金庫メーカーの日本アイ・エス・ケイの株価が急上昇。その日だけで30%以上も値上がりした。

 同社鋼製品事業部の担当者は、「昨年10月以降、生産は前年比3割増です。マイナス金利導入後も好調な出荷が続いています」とやはり鼻息が荒い。とはいえ、本当に金庫を買う意味があるのか。前出・荻原氏はこういう。

「銀行もさすがに一般の預金者の口座にマイナス金利は適用できないでしょう。単に低金利が不満なら、金利引き上げを打ち出した信用金庫などに口座を開設するほうが実利があります。家に大金を置くのは、盗難リスクがあることを忘れてはいけません」

 売れ筋の価格帯の金庫は、「1万円の新札で1億2000万円ほど入るサイズ」(前出の日本アイ・エス・ケイ担当者)というから、いくらなんでもデカすぎる。“買ったはいいが、入れるカネがない”なんて人もいたりして。

※週刊ポスト2016年3月11日号

関連キーワード

トピックス

西内まりやがSNSで芸能界引退を発表した(Aflo)
《西内まりやが芸能界引退へ》「自分らしい人生を見つけていきたい」理由のひとつに「今年になって身内がトラブルを起こしていることが発覚」【自身のインスタで発表】
NEWSポストセブン
出演しているCMの画像や動画が続々と削除されている永野芽郁
《“二の矢”で一気に加速》永野芽郁、止まらない“CM削除ドミノ”  旬の著名人起用で“チャレンジ”続けてきたサントリーからも消えた 永野にとっても大きな痛手に
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《フジテレビ第三者委に反論》中居正広氏の心中に渦巻く“第三者委員会への不信感” 「最初から“悪者扱い”されているように感じていた」との関係者証言も
NEWSポストセブン
真剣交際が報じられた犬飼貴丈と指原莉乃(SNSより)
《仮面ライダー俳優・犬飼貴丈と真剣交際》“芸能界の財テク王”指原莉乃の「欲しいもの全部買ってあげる」恋愛観、私服は6万超え高級Tシャツ
NEWSポストセブン
母の日に家族写真を公開した大谷翔平(写真/共同通信社)
《長女誕生から1か月》大谷翔平夫人・真美子さん、“伝説の家政婦”タサン志麻さんの食事・育児メソッドに傾倒 長女のお披露目は夏のオールスターゲームか 
女性セブン
奥本美穂容疑者(32)の知られざる”アイドル時代”とは──(本人SNSより)
《フリフリのセーラー服姿》覚せい剤で逮捕の美人共犯者・奥本美穂容疑者(32)の知られざる“病み系アイドル時代”【レーサム元会長とホテルで違法薬物所持の疑い】
NEWSポストセブン
ぐんぐん上昇する女優たちのCMギャラ(左から新垣結衣、吉永小百合、松嶋菜々子/時事通信フォト)
【有名女優のCMギャラ一覧表】1億円の大台は80代と50代の2人 10本超出演の永野芽郁は「CM全削除なら5億円近く吹っ飛ぶ」の声も
週刊ポスト
万博初日、愛子さまは爽やかな水色のセットアップで視察された(2025年5月9日、撮影/JMPA)
《雅子さまとお揃いパンツスーツ》万博視察の愛子さま“親子シミラールック”を取り入れたコーデに「ネックレスのデザインも相似形でした」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(Instagramより)
《美女・ホテル・覚せい剤…》元レーサム会長は地元では「ヤンチャ少年」と有名 キャバ嬢・セクシー女優にもアテンダーから声がかかり…お手当「100万円超」証言
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
【独占直撃】元フジテレビアナAさんが中居正広氏側の“反論”に胸中告白「これまで聞いていた内容と違うので困惑しています…」
NEWSポストセブン
不倫報道の渦中、2人は
《憔悴の永野芽郁と夜の日比谷でニアミス》不倫騒動の田中圭が舞台終了後に直行した意外な帰宅先は
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(Instagramより)
〈シ◯ブ中なわけねいだろwww〉レースクイーンにグラビア…レーサム元会長と覚醒剤で逮捕された美女共犯者・奥本美穂容疑者(32)の“輝かしい経歴”と“スピリチュアルなSNS”
NEWSポストセブン