東京・六本木の高級タワーマンションから出てきた男性は、朝日を浴びながら、真っ直ぐに職場へと足を進める──。女優・川島なお美(享年54)が胆管がんで亡くなって5か月。夫の鎧塚俊彦氏(50才)は、生前川島と暮らした都心の自宅を引き払い、昨年末、ひとりこのマンションに引っ越した。パティシエの仕事にも復帰し、都内各店舗や神奈川県小田原市の系列店に顔を出す多忙な日々が戻ってきた。
「仕事と並行して、ここ数か月は遺品整理に追われていたそうです。書籍や洋服、小物など全てを引っ張り出して、彼女が特別大切にしていたものは保存し、それ以外は売却したり、知人に譲ったりしています。整理の過程で川島さんとの思い出が甦り、涙が止まらなくなることもままあったそうです」(鎧塚氏の知人)
川島は著書『私の死生観』(角川書店)で綴っているが、生前、自身の墓について鎧塚氏に言づてをしていた。彼女の意向は、麻布十番のある古刹の墓地に夫婦一緒に入ること。同墓地の一角には彼女と親交のあった俳優仲間の奥田瑛二(65才)夫妻や作曲家の三枝成彰(73才)らが並ぶように生前墓を購入しており、川島も“墓友”として隣に入ることを希望したのだった。
「もし私が先に逝ったら、墓石にワインをかけてね」
墓友のみなにそう伝えていたという川島だが、その日は来たのか。お寺の関係者が語る。
「いえ、鎧塚さんはまだお墓の購入もされていません。年明けには墓地を見に来られていますし、購入の意思はあるようですが、決めかねている様子でした。当然、納骨もされておりません」
一般的に納骨は四十九日の法要の後に行われるが、鎧塚氏は死後5か月たった今も遺骨を自分の手元に置いていることになる。前出・鎧塚氏の知人が語る。
「もう少しだけ川島さんの傍にいたいんだ、と。未練というか、いまだ尽きぬ愛情でしょう。最近も川島さんが病気で降板した舞台を見に行って、泣いてましたよ。“なおはんがあそこに立ってたはずなんだよな”って。自室には川島さんとのツーショットが沢山飾られています。あんな愛妻家を見たことがありません」
亡き妻への想いは強い。生きていれば7回目の結婚記念日となるはずだった今年2月1日、鎧塚氏はフェイスブックにこう綴った。
《昨晩初めて夢に女房が出てきてくれました。場所はパルコ劇場。入手困難なプレミアムチケットなのに毎年女房が取ってくれふたりで行っていた「志の輔らくご」の会場です。何故かコックコートにジャンパー姿で私が入ろうとすると「そんな格好で入場出来ませんよ!」と係員に拒否されてしまいました。
(中略)端で座り込み途方にくれていると「あなた!」と颯爽と女房が歩いてくるではありませんか。「ふぁん、来てくれたんや」と思わず泣き出してしまった私に女房は「だってあなたが呼ぶから♪」と満面の笑みで答えてくれました。また私は泣き出してしまいそれで目が覚めてしまいました》
川島は胆管がんの手術の際、夫に内緒で遺書を用意し、「できれば再婚しないでね」と綴ったことを明かしていた。彼の近況を見る限り、川島以外の女性が心に入り込む余地は今のところない。
※女性セブン2016年3月17日号