「東京の男の人はみな優しかね」。福岡から婚活のために上京中の大西絵里さん(38、仮名)は目を潤ませてそう語る。
婚活パーティ、街コン、独身ワイン会など、婚活系のイベントに出来る限り足を運ぶ多忙な毎日。イベントのない日は、都心の立ち飲みバーで出会いを待つ。大学卒業後、地元で続けてきた派遣社員を昨年末で辞め、今年から「3ヵ月」の期間限定で上京した。
いま、大西さんのように、“婚活上京”する独身女性が増えているという。我が国の生涯未婚率は、2010年には男性20%、女性10%を超えた。過去に例のない非婚の時代。その中で結婚を望む女性たちは、積極的な行動に打って出ている。
「福岡には同世代の独身男性が少ないんですよ。東京に出てきてびっくりしました。30代で独身の人がえらいいっぱいおるんやねぇと。婚活パーティもいっぱいあるし、ばり楽しい! 思い切って出てきてよかったです」
と大西さんが語るように、地域によって男女の非婚率は異なり、それが独身女性を上京させる理由の一つとなっている。例えば30代男性の未婚率を都道府県別にみると、1位:東京都(約43.7%)、2位:埼玉県(42.6%)、3位:神奈川県(42.2%)。大西さんの住む福岡県は26位で約39.1%。おおよそ男性の非婚率は東日本で高く、反対に、女性のそれは西日本で高い傾向にある。女性の30代、都道府県別非婚率は1位:東京都、2位:京都府、3位:福岡県となっている(2010年の国勢調査をもとに集計)。
独身男性を求めて東京に集結する女性たち。ターゲットは増えるかもしれないが、経済的負担は少なくないだろう。大西さんは同郷の友人に頼み込んで居候しているという。地元で働きながら東京で婚活をする知り合いの中には、金曜の夜に2日分の食事を冷凍持参して夜行バスで上京、カプセルホテルに泊まって婚活パーティをはしごする倹約家もいるという。
釈由美子似の大西さん。婚活パーティで出会った3人の男性と、いま“良い感じ”だという。「ばってん、1人に決めるのは、もう2、3人と出会ってからにするけんね。ほんとは、福岡が地元の人に出会って福岡に帰れればいいんやけど、東京は楽しいから、彼氏が出来たらこのまま住み続けてもいいなと思ってます。あ、お金はどうするかと? 無職やけん、食べさせてくれる人がいいんやけど……、もうアラフォーやし、そげな人は見つからんやろうねぇ(笑)」