コラム

日立製作所 自動運転の内製化で世界シェア20%を狙う

 株式市場では、常に旬のテーマが存在する。これからの成長期待が高い分野で強みを持つ日本企業は、今後の大きな躍進も期待できる。ラジオNIKKEI記者・和島英樹氏が、市場で注目を集めているテーマと今後有望な企業について解説する。

 * * *
 相場全体の上昇はマイナス金利だけでは望めず、政策による後押しが不可欠。そうしたなか、日本株にプラスとなる大きなテーマといえるのが、コンピュータが自分で考えて動く「ディープラーニング」だ。

 昨年10月には難攻不落とされた囲碁でスーパーコンピュータが欧州チャンピオンを破るなど狼煙は上がっている。これには人工知能(AI)や自動運転、ロボット、IoT(モノのインターネット)といった個別テーマが含まれ、「ディープラーニング」を軸にさまざまなテーマが実用化に向けて一気に進む可能性が高まっている。

 そうした中で私が注目しているのが、日立製作所(東証1部・6501)だ。幅広い事業領域を持ち「巨象」とも呼ばれてきた総合電機メーカーが、その総合力を生かした戦略を進めている。なかでも注目は「自動運転」だ。

 グループの日立オートモーティブシステムズが昨年11月、試作した自動運転車を初めて公開した。カメラやセンサーをはじめ、各種情報を瞬時に判断して加速や減速、方向転換を指示するコントロールユニットなど心臓部はすべて自社製。

 自動運転といえば、ベンチャーのZMP(未上場)が各社と共同で実証実験を行ない注目を集めているが、日立は必要な技術をすべて自社グループ内で賄う。大手自動車メーカーは自動運転の内製化を進めるが、自前でやれるメーカーはそうそうなく、システムを丸ごと請け負える日立の強みが発揮されるだろう。パソコンの「インテル・インサイド」のように、自動運転で「日立・インサイド」となる可能性は高いと見る。

 2020年度の自動運転の市場規模は1兆円以上と見られ、同社は世界シェア20%を狙う。長期的にも注目だ。

※マネーポスト2016年春号

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