ピークは越えたと伝えられる今年のインフルエンザだが、依然として1医療機関あたりの1週間の患者数は「警報レベル」の30人を超えており、まだまだ予断を許さない。そして、その猛威は皇室を襲った──。
2月27日から38度台の発熱と喉の痛みや咳の症状があった天皇(82)は翌28日の検査でA型インフルエンザと診断された。
「3月1日のエジプト大統領との昼食会では皇太子殿下(56)が代理をお務めになるなど、陛下は2月29日から公務を取りやめられ、御所で安静に過ごされています。美智子さま(81)が温かい手料理を振る舞われ、陛下のお側で看病されているそうです。
両陛下は2月24日、1月のフィリピンご訪問に尽力した関係者を皇居に招いて茶会を催されました。安倍晋三総理や閣僚のほか警察や自衛隊関係者を含め300人以上が出席しており、そこで感染したのではと疑われている。
両陛下は毎年秋にインフルエンザの予防接種を受けられています。そのため、発症してもそこまでの高熱は出なかったと聞いています」(宮内庁担当記者)
昨年12月に82歳になった天皇は今年も元日の四方拝や新年祝賀の儀に始まり、1月末には4泊5日の日程でフィリピンを訪問するなど、ほとんど休みなく数多くの公務をこなしてきた。
天皇の公務軽減は皇室の数年来の懸案事項となっていたが、体調管理はどうなっているのか。皇室ジャーナリストの神田秀一氏がこう語る。
「両陛下のお側には5人の侍医が交代で24時間態勢で控えています。不調があればすぐに拝診し、検査や治療が必要なら宮内庁病院や東大病院にお連れする」
万全の態勢が敷かれているにもかかわらず起こった天皇のインフルエンザ感染。宮内庁内部からはこんな声が聞こえてくる。
「陛下は周囲が体調面を心配しても、“国民のために”と公務を第一にお考えになる。しかし、日頃のお疲れが今回の感染に繋がったと見られているだけに、陛下のご体調にはこれまで以上の注視が必要だと考えているようです」(宮内庁関係者)
撮影■雑誌協会代表取材
※週刊ポスト2016年3月18日号