「民主党と維新の党が合流へ」──そう聞いても、期待する気が全く起きない。もともと民主党への期待が低い上に、合流する維新の党の中枢メンバーは、その民主党を散々批判して飛び出した面々である。4年前、彼らはなんと言っていたか。
民主党政権時代の2012年8月、社会保障改革関連法が成立して消費増税が決まった。翌9月、民主党から離党したのが現在の維新の党代表・松野頼久氏だ。当時、こんなタンカを切っている。
「既成政党に限界を感じた」(2012年9月11日、離党届提出直後、記者団に)
「(民主党が)国民の期待に応えられていないのは明らか。絶対に上げないと言っていた消費増税をやった」(同12日、地元での会見)
そう大見得を切った松野氏は橋下徹・大阪市長(当時)の下で結党した日本維新の会に合流したが、昨年11月に橋下氏系の「おおさか維新の会」と松野氏が代表を務める「維新の党」に分裂。それで今度は民主党と“合流”と言っているが、なんのことはないただの「出戻り」である。
民主と維新は新党名と綱領を協議中だが、政党支持率は合流発表後も両党合わせて8%(日経)と低迷。有権者はその軽薄さを見透かしているのだ。
松野氏だけではない。維新の衆院議員21人の半数にあたる10人が元民主党。今井雅人・幹事長(比例・東海)は2012年に離党した際、こうブログに書いている。
「(民主党は)あまりに幅が広すぎる。(中略)党に統一した意見がなく、護憲派、改憲派がそれぞれ勝手に持論を展開しています。(中略)これが本質的な問題」(2012年10月5日)
ごもっともである。が、その「本質的な問題」は全く解決されていない。今井氏は同ブログで自身を改憲派としているのに対し、民主党の岡田克也・代表は安倍政権下での改憲論議に応じない姿勢だ。これでは説明がつかないだろう。
石関貴史・国対委員長(比例・北関東)も「離党宣言」は語気が荒かった。
「民主党政権は行政改革になんら手を付けることなく官僚主導の消費増税にのめり込んで(中略)再生困難なまでに変節、変質してしまいました」(2012年9月11日)
そんな党に戻る行為こそ、有権者にとっては理解困難、というか理解不能である。
※週刊ポスト2016年3月18日号