メディアから聞こえる「今年はイケる!」とされている阪神タイガース。だが、開幕1か月を切ってもスタメンと正捕手が固まらず、打撃は誰かの覚醒待ち、投手も人数はいるが内容が伴わない。
最大の懸案は、なんといっても新人監督である金本知憲監督の采配だろう。これについてはOBの間でも意見が分かれている。元監督の藤田平氏はこういう。
「明るい金本監督のおかげでムードはいい。鳥谷(敬)なんて昨年までとは別人のように声を出して元気にやっている。この監督を胴上げしたいと思える監督なんやろうね。期待してもいいと思うよ」
同じ元監督の安藤統男氏も、
「今年のセ・リーグは団子状態で、全球団にチャンスがある。阪神のAクラス入りも十分あると思う」
しかし、阪神の優勝監督でもある岡田彰布氏は慎重な見方だ。
「ちょっと金本監督が動きすぎやね。呉昇桓が抜けたとはいえ阪神にはまだAクラスで戦う力はある。そんなに変革、変革と強調する必要はない。あんまり変えたらそれまでの監督に失礼やろ。何事もいきなり大きく変えて、うまくいくことは少ない」
実は金本監督には嬉しくない事実がある。
1985年の日本一達成以降、阪神で就任1年目の監督でAクラスになった例は一度もない。それどころか新任監督は9人中4人がリーグ最下位に終わっている(1988年村山実、1990年中村勝広、1996年藤田平、1999年野村克也)。
話題性のある新監督という点で、今年は2002年の星野阪神に似ている。あの年はオープン戦で快進撃を続け、開幕から球団記録タイの7連勝でスタートを切ったものの、最終的にはBクラスの4位。その翌年にはリーグ優勝を果たしたが、原動力になったのは、オフにFAで広島から獲得した金本知憲だった。
「3年後を見てください」という金本監督。阪神ファンは、じっくり長い目で見てくれるかどうか。
※週刊ポスト2016年3月18日号