在阪スポーツメディアからの「今年はイケる!」という威勢の良い声とは逆に、金本知憲新監督のもと調整に臨む新生・阪神の問題点は多い。スタメンが固まらず、正捕手問題は深刻化、打撃は誰かの覚醒待ちというありさまだ。そんな中、強みは投手陣だが、こちらも雲行きが怪しい。
藤浪晋太郎(14勝7敗。昨年、以下同)、メッセンジャー(9勝12敗)、能見篤史(11勝13敗)、岩田稔(8勝10敗)、岩崎優(3勝10敗)、岩貞祐太(1勝1敗)に藤川球児。先発7本柱というと聞こえはいいが、昨年の勝ち星を合わせても46勝にしかならない。元監督の安藤統男氏の話。
「枚数だけはあるが、数字を見て分かるように、藤浪以外は10勝しても10敗するか負け越す投手。大きく勝ち越せる若手が出てこないと優勝は難しいだろう」
その先発以上に問題なのが中継ぎと抑えだ。連投を強いられる中継ぎ陣が、相変わらず39歳の福原忍(昨年61試合登板)と38歳の安藤優也(同50試合)が頼りでは心許ない。
抑えには新外国人のマテオを起用する方針。制球力もあり四球で崩れることはない投手だが、メジャー通算の防御率は4.65。ドミニカのウィンターリーグで17試合、11セーブの実績はあるものの、まだ投げてみないと分からない。阪神の優勝監督でもある岡田彰布氏はこう語る。
「やっぱり藤川は前(先発)に回すべきやないと思うな。後ろ(抑え)を任せてブルペンでの会話も含めて、若手に色々勉強させないと。マテオを考えているようだけど、彼はまとまったフォームから素直な球を投げるから、安定感はあっても怖さや迫力に欠ける。それに左打者に弱い。シーズンが進むにつれて抑えの問題が浮上してくるやろうね。そこで慌てて途中から藤川を回すのは無理ですよ」
※週刊ポスト2016年3月18日号