男性消費者を意識しての工夫は、機能とは別な取り組みからも見えてきた。日頃忙しいサラリーマンにとって、朝食でいちいちヨーグルトをスプーンですくって食べるのは面倒なこと。でも、仕事の合間などふと思い立った時に手軽に飲め、しかもプリン体と戦えるなら、積極的に摂りたいと思うはず。
「ドリンク型容器は弊社で生産をしており独自の形をしています」
と小沢氏は言う。
容器の変化によって、ヨーグルトを摂取する時間帯にも驚きのシフトが生まれている。「ヨーグルトは朝食」という私たちのこれまでの思い込みを、ガラッと書き換える現象だ。
コンビニでは昼夜問わずに売り上げを伸ばす。親しんできた栄養ドリンク剤からヨーグルトへと、男性たちが横ズレするきっかけとしても「ドリンク型容器」が効果を発揮しているとすれば……パッケージの形が持つ影響力は計り知れない。
もう一つ、「PA-3」を特徴付けている点がある。パッと目立つ黄色のパッケージだ。でも、ヨーグルトに黄色とはかなり奇抜な選択に見えるのですが?
「たしかにヨーグルトのパッケージの色調は、一般的に乳の白や爽やかさを感じる青が多いと思います。
弊社のプロビオシリーズの第一弾である『LG21』もパッケージは青。第二弾の真っ赤なパッケージ『R-1』に続く第三弾商品発売に当たり、店頭での視認性と、これまでの2ブランドとの識別性を意識して黄色を選択しました。
これまでの2ブランドがあったからこそ『PA-3』についても大胆な色の選択が可能になりました」
2000年、ピロリ菌に作用する乳酸菌を使った「LG21」が登場し、「機能性ヨーグルト」というカテゴリーが開拓された。「LG21」は累計55億個、今でも日に100万個が売れるロングセラーだ。続く第二弾の「R-1」は、「インフルエンザの感染予防に効果的」とテレビ番組で紹介されたとたん、これまた爆発的ブームを巻き起こした。
「『LG21』と『R-1』が開拓してきた市場があったからこそ、今回『PA-3』のヒットが生まれたのだと思います」
同社のヨーグルト部門は2020年にはシェア50%、売上高2000億円達成という大きな目標を掲げてつっ走っている最中だ。
※SAPIO2016年4月号