日本株が大幅に下落した2016年1月、投資信託市場には6000億円もの資金流入があった。その背景について、楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏が解説する。
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2015年から2016年にかけて国内外の金融市場は大荒れの展開となっているが、国内の投資信託市場には資金流入が続いている。マーケットへの流入額から流出額を差し引いた純流入額は、11月1134億円、12月6285億円、16年1月6529億円となり、2014年12月以降、14か月連続でプラスとなった。
特に、1月は、年末から国内外の株式が大幅に下落し、為替市場では円高が進んだ。その影響で残高は、12月に比べて約3兆円が吹き飛んでしまった。それにもかかわらず、6000億円を超える資金が流入したことになる。大健闘といってよいのではないだろうか。
資金流入が堅調となっている要因の一つに、投資信託の「定期買付サービス」、いわゆる「積み立て投資」がある。昨年あたりから、NISA(少額投資非課税制度)口座経由も含め、このサービスの利用が増えているのだ。若年層の利用も目立つ。
積み立て投資をしている層は、中長期スタンスで投資を捉えているため、目先の相場の動きにはあまり一喜一憂はせず、いったん買い付けをスタートしたら、途中でストップする可能性は低い。このような安定した資金がマーケットを下支えしていると考えられる。
※マネーポスト2016年春号