スポーツ

巨人・高木京介の球団会見の裏に駆け引きと御用メディア存在

巨人軍公式HPのお詫び

 高木京介投手が野球賭博に関与していたと巨人の久保博球団社長らが緊急会見で発表したのは3月8日、火曜日の夜のことだ。

 高木が賭博への関与を認めたきっかけは『週刊文春』の取材によるものだった。巨人の説明によれば、2月29日に球団職員が文春から質問を受けて調査を開始。当初、高木は否定していたが、3月7日に両親から「真実を話したほうがいい」といわれたことなどから、同8日に証言を翻して事実を認め、発表に至ったという。だがこの発表に、出版関係者は一斉に首を捻った。

「タイミングが良すぎる」

 近年、週刊誌のスクープ記事が出る前に当事者側が発表して、本が出る頃にはインパクトが薄れてしまうことはよくある。これは、他メディアでの報道のされ方にも関わってくるからだ。スポーツ紙記者が語る。

「文春の発売日は木曜日ですが、前日の水曜日には“早刷り”がマスコミに出回ります。これを入手した後の会見だと我々は『文春の報道で』と書かざるを得ない。しかし火曜の夜であれば“自発的に”発表したものだから、文春が~と書く必要性は最小限になる」

 しかも球団の会見が行なわれた夜7時頃は文春側にとって校了(記事を仕上げて印刷所に入れること)ギリギリのタイミングだった。前出・スポーツ紙記者が語る。

「高木の賭博関与について文春が巨人側に取材をし、回答(*注)があって約8時間後に巨人が会見することがわかった。文春側もこのタイミングで会見されるとは思っていなかったはず」

【*注:その回答は「現在、調査中であり、事実関係が確定できていないため、球団所属選手の氏名等は慎重に扱うようお願いします」というものだった】

 その結果、週刊誌に先んじて新聞・テレビは大きく報じ、雑誌発売前に一連のニュースが消費し尽くされることになった。

 もちろん巨人とすれば、調査をした結果、事実が判明し、責任者の処分を含めていち早く発表するため、この日の会見となったとの立場だろうが、週刊誌に追及されてやむなく事実を認めたのではなく、自浄作用が働いたという印象を強めるため、タイミングをはかったとも見れる。一般読者(視聴者)には、ニュースの裏でこのような駆け引きと、それと知りつつ利用される御用メディアがあることを知ってほしい。

※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン