安倍政権は7月の衆参同日ダブル選へ向けて臨戦態勢にひた走ると見る向きもある。しかしダブル選挙となれば有権者は「衆院選小選挙区」「衆院選比例代表」「参院選選挙区」「参院選比例代表」に加えて、最高裁判所判事の国民審査まで1度に5回の投票を行なわなければならなくなるなど大混乱が予想される。
選挙が公示されると、テレビ番組は「政見放送」にジャックされる。政見放送の最長記録は2012年の総選挙で、NHKでは東京など関東1都6県の政見放送の総時間が8日間で約49時間に達した。衆参ダブル選挙になるとそのうえに参院の選挙区候補、比例代表の政見放送が加わり、早朝から深夜まで「知らない候補者の顔ばかり見せられる」という状態になる。
「そんなに混乱するなら、期日前投票を早めに済ませておこう」と考えても、この期日前投票がさらに混乱に拍車をかけそうなのだ。
というのも、期日前投票の期間は参院と衆院、国民審査でそれぞれ異なる。参院選は投票日の16日前、衆院選は11日前、そして最高裁の国民審査は7日前から期日前投票を受け付ける。
参院選が公示されて選挙カーが「○○をよろしく」と駆け回るようになったからと役場の期日前投票所に足を運んだのに、衆院の公示前だと「参院は投票できますが、衆院と国民審査はまだです」と断わられてしまう。
「なんで投票できないんだ!」
「せっかく来たのに二度手間じゃないか!」
という有権者の怒号が飛び交う光景が目に浮かぶようではないか。
※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号