日経平均株価が軟調なときでも、株価が高騰する銘柄は中小型株に多い。とはいえ中小型株投資はリスクも高く、銘柄選別や売買タイミングについては慎重に慎重を期する必要がある。いま注目すべき中小型株と投資ポイントについて、カブ知恵代表・藤井英敏氏が解説する。
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手元資金が潤沢な投資家ならいざ知らず、そうではない個人投資家がハイリターンを狙うのであれば、やはり時価総額が小さくボラティリティ(変動率)の高い小型株に目を向けるべきだろう。
もちろん小型株投資には注意が必要だ。なるべく銘柄を分散するとともに、高値掴みを避けるためにも一気に資金を投じるのではなく、複数回に分けるなど投資機会も分散させたい。売買タイミングとしては、25日移動平均線が上向きで株価がそれを上回っている時に買って、下回った時に手放すようなマメさも求められる。
そのうえで注目したいのは、やはり旬のテーマ性を持った銘柄。ビットコインをはじめインターネット上の決済手段として注目を集める「フィンテック」関連、常に注目度の高い「バイオ」関連のほか、書留や配達証明などの重要書類をネット上で送る「デジタル郵便」関連、グーグルグラスに代表されるウェアラブル端末などによる「AR(拡張現実)・VR(仮想現実)」関連、海外でより高度な医療を受ける「医療ツーリズム」関連など、今後成長が期待できるテーマ性を帯びた銘柄である。
そこで、それらのテーマに沿った有望な成長小型株トップ3を紹介しよう。
まずは、ジグソー(東証マザーズ・3914)である。人工知能およびロボット型ソフトウェアをベースとした自動制御システムをはじめ、次世代通信規格「5G」、自動運転関連などを手がけ、切り口多彩な「有望テーマの総合商社」といえる。なかでも、公道で自動運転の実証実験を手がけるベンチャー企業のZMP(未上場)と自動運転用リアルタイムOS(基本ソフト)を共同開発している点が注目ポイントだ。
前期(2015年12月期)業績は、売上高が前期比29.9%増の6億5700万円、経常利益は同138.8%増と大幅な増収増益が続き、絶好調そのもの。
株価水準を見ると、PER(株価収益率)は数百倍と極めて割高に映るが、その数値にとらわれると見誤るだろう。「過熱は売りだが、“超過熱”はむしろ買い」と発想を転換することが成長株を掴むコツなのだ。
多種多彩な有望テーマを揃えているだけに、旬のテーマに応じた安定的な株価上昇が望め、株価は昨年11月の高値8075円を抜けて、少なくとも1万円は狙えるだろう。バブル化すれば、ここからテンバガー(10倍)になってもおかしくない。
続いては「AR関連のド真ん中銘柄」といえるサイバネットシステム(東証1部・4312)だ。システム開発の富士ソフトの子会社で、誰でも簡単にARコンテンツが作成できるポータルサービスを提供。今年1月からはソニーが開発した高機能・高精度なARエンジンの販売代理店となったことでさまざまなニーズに応えられる体制が整った。テーマ化すれば、短期間のうちに株価1500円台も望めるだろう。
サン電子(ジャスダック・6736)もAR関連として注目したい。今年3月期は大幅な減収減益予想で足元の業績は決してよくないが、イスラエルの有力企業と提携してメガネ型のハードウェア開発を進めており、今後の業績への貢献に期待したいところだ。株価は昨年1月に2250円の高値を付けており、少なくとも倍増、好業績が見えてくるようならさらなる上値も期待できる。
※マネーポスト2016年春号