男性と女性が関係を結ぶ際、必ず考えなくてはいけないのが「避妊」だ。望まない妊娠を防ぐためには避妊が不可避だが、「装着すれば効果が5年続く」という避妊法があるという。それは一体なんなのか? 婦人科医の武家尾舞子さんが解説する。
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女性の避妊手段はこれまでピルが主流でしたが、経産婦さんや、ピルによる血栓症などのリスクが上昇する40代以上の方には特に「ミレーナ」という避妊リングをおすすめしています。日本ではまだあまり知られていませんが、海外では20年以上も前から使用が始まり、すでに130か国以上、のべ2000万人を超える女性が使用しています。日本でも1年半前に、生理痛がひどい方や出血量が多い方には、保険が適用されるようになりました。
ミレーナはT字型をした小さな器具で、子宮内に装着して使用します。ミレーナにはIUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)があり、5年間にわたって薬効がつづくのです。
黄体ホルモン(プロゲステロン)は排卵後に卵巣に残された黄体から一時的に分泌されるもので、女性が妊娠しやすいように子宮内の環境を整えることから「妊娠を助けるホルモン」とも呼ばれます。受精卵の着床に不可欠なホルモンの一つです。
ミレーナは黄体ホルモンを放出させることで、赤ちゃんのベッドとなる子宮内膜を薄くし、受精卵の着床を防ぎます。それは同時に月経量を減らし、月経痛を軽くする効果につながるのです。また、子宮の入口の粘液を変化させて精子が膣の中から子宮内に侵入するのを妨げるので、避妊効果も発揮します。
ピルの場合、服用初期に吐き気や頭痛などの副作用が起きたり、飲み忘れなどのリスクもあります。その点、ミレーナは一度入れると5年間にわたって薬効がつづくのが利点です。妊娠したくなれば、いつでもミレーナを外せます。