「2016年のいま、世界は戦争の危機に陥っている」とジャーナリストの落合信彦氏は指摘する。1月末に発表された世界終末時計は「残り3分」と、まさに人類滅亡の瀬戸際だ。落合氏は、その主犯の一人は北朝鮮の金正恩であり、「自分がやられるなら、世界を破滅させてしまおう」とする危険な男であると警告する。
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「残り3分」
人類滅亡までの残り時間を示す「世界終末時計」。今、その針は「23時57分」を指している。
終末時計を発表しているのは、米誌「ブレティン・オブ・ズィ・アトミック・サイエンティスツ」と16人のノーベル賞受賞者を含む安全理事会だ。
北朝鮮の核実験やアメリカとロシアの緊張、中国の台頭などがマイナス材料となり、残り3分となった。
この時間は、現在の世界情勢が極めてシビアな局面に来ていることを意味する。1953年に米国の水爆実験を受けて「人類滅亡まで残り2分」となった時に匹敵する危機なのだ。
冷戦が終結した1991年には「残り17分」だった。それを考えると、私が以前紹介した米元国防長官のウィリアム・ペリーの懸念通り、今年中に「世界のどこかに核爆弾が落ちる」事態になってもおかしくない。
「終末」を呼び込む主犯の一人が、北朝鮮の金正恩だ。
北朝鮮は1月の核実験に続き、2月には弾道ミサイルを打ち上げたが、暴走は止まらない。金正恩は科学者らに「核開発のスピードを加速させろ」と指示している。正常な判断能力を失い、世界中を敵に回してもいいと考えているのだ。
中国は、表向き「国連安保理の決議を通じて制裁を行う」と北朝鮮を批判しているが、ポーズに過ぎない。
もし中国が本気で北朝鮮を切り捨てて金正恩が暴走し、アメリカに攻撃を仕掛けたら、さすがに腰の引けたアメリカも朝鮮半島に乗り込んでくる。中国にとっては目の前にアメリカの脅威が迫ることになる。とてもじゃないが、アメリカの朝鮮半島への介入は容認できることではない。だから中国は、自らが育ててきた“とんでもないガキ”である金正恩をなだめすかして誤魔化すくらいしかできないのである。「制裁」などと言っているのは、中国のいつもの嘘、演技なのだ。
その証拠に、アメリカが「THAAD」の韓国への配備に向けて公式協議を始めることが明らかになると、中国は猛烈なアメリカ批判を始めた。