ブロードウェイミュージカル『王様と私』に再出演する俳優の渡辺謙(56)が3月5日、渡米直前に会見を行った。
2015年に同作品に出演した渡辺は、米国演劇界最高の栄誉とされるトニー賞のミュージカル部門主演男優賞にノミネートされ、惜しくも受賞は逃したが高い評価を得ていた。
今回の公演は、当初3月1日から始まる予定だったが、渡辺が早期の胃がんであることが判明し、内視鏡手術を受けため予定を変更。17日から約1か月、リンカーン・センターにて行われることとなった。
デニムシャツに黒いパンツ、スパンコールをあしらったスニーカーというカジュアルなスタイルで現れた渡辺は、「おはようございます!」とよく通る声であいさつし、「よっしゃ!」という感じでポンと手を叩いて会見に臨んだ。
手術について聞かれると、「科学、医療の進歩はすごいなと。本当に早い段階で見つけていただいたので、内視鏡手術で、実際、痛みもなく症状もなく…。いちばん大変だったのは、3日間の絶食をしたくらい」と、ニッコリ。
入院が4日間で済んだことや、10日後くらいからトレーニングを始めていたことなどを明かし、「キツネにつままれたみたい」と感想を述べた。
再演に向けては、「もう1回気合を入れて行ってこようかなと思っています」と語り、「再びすばらしいカンパニーと仕事をできることを誇りに思って、楽しむというか、違うステージをもう1回創り上げるつもりでいきたいなと思っています」と、意気込みを語った。
今年は長女の杏(29)が出産を控えているが、そのことについて聞かれると、「いや、まだまだです。ぼくが帰って来てから充分間に合うので、それから顔を見に行きたいなと思っています」とのこと。
双子の出産については、「全然実感はない」と言いつつ笑顔を見せ、早くもデレデレな様子であった。
先日アカデミー賞主演男優賞を受賞したレオナルド・ディカプリオ(41)と、映画『インセプション』で共演したことのある渡辺。
受賞祝いのメールをレオ様に送ったそうで、「ホント、長年やってきたことがちゃんと報われてよかったねーという感じです。多分、ぼくが北海道で経験したような(映画『許されざる者』)、つらい撮影を乗り越えての映画だったと思うので、苦労が報われてよかったです、はい」と心からの祝福を送った。
最後に、ファンに向けては、「いろいろご心配をおかけしましたけど、また、新しい仕事、新しい役に向かって、前に進むことができるようになりましたので、もし、ニューヨークにいらっしゃる方がいたら、ぜひ、観てやってほしいです。また今後はいろんな映画が公開される年になりそうです。たくさんの力、応援をいただければと思っています。ありがとうございました」と深々と頭を下げて、搭乗ゲートへと向かっていった。
撮影■矢口和也