中国当局はテレビドラマの内容に関する新たな方針を発表し、同性愛や不倫などに関するドラマの制作を禁止したほか、未成年の恋愛についても、「同年代の若者に不健康な影響を与える」として、同じく制作を禁じている。インターネットのニュースサイト「澎湃新聞」が報じた。
ネット上では、このような方針に反対する書き込みが14万通も寄せられており、当局はあまりの反応の過敏さに一時、新通達をネット上から削除したほどだ。
この通達は中国放送映画テレビ社会組織連合会傘下のテレビ制作委員会と中国テレビドラマ制作産業協会が決めたもので、「テレビドラマ内容制作通則」と題して3月初めに会員企業に通達。おもに、ドラマの内容について、禁止事項を羅列している。
例えば、不倫や同性愛のほか、チベット仏教で信じられている輪廻転生や、憑依(ひょうい)や呪術などの神秘現象について描くことも、「封建的な迷信や思想」として禁止している。ミステリードラマやサスペンスドラマでは「視聴者が犯罪を引き起こす恐れがある」などとして、捜査手段を明らかにすることや、猟奇的な事件についても禁止されている。
このテレビドラマ通則については、もともとは2005年末に最初に発表されており、今回の通則はその改訂版だ。10年以上の年月を経て、社会的な変化を考慮に入れて、改訂版がつくられたとみられる。
ネット上では、「迷信とか、不健康な結婚観などを挙げているが、『西遊記』は妖怪が出るから不可になるし、『水滸伝』や『三国志』も憑依や呪術のシーンがある。『紅楼夢』には少年が恋するエピソードが入っている。それに、サスペンスドラマは結構残酷なシーンがたくさんある。それなのに、戦争を描いた反日ドラマはお咎めがないのは、おかしいのでは」などとの書き込みがみられる。
北京の知識人は、この背景について、「中国では2012年11月に習近平政権が発足してから、思想的な締め付けが格段と厳しくなった。文芸作品に対する基準もより共産主義思想に近づけようとする発言が目立っており、宗教に対する締め付けも目立つ。習氏の意向がかなり色濃く反映されているのではないか」と指摘している。