1915年の創立から100年を迎えた昨年、六代目山口組の大分裂が世間を賑わせた。騒動が表面化したのは8月末、同組の傘下団体だった山健組・井上邦雄組長らが神戸山口組の設立を宣言。一方で、六代目山口組側は、脱退した親分衆13名の絶縁状・破門状を全国の傘下組織に配布した。
六代目山口組の組長、若頭ら主要ポストは、名古屋に本拠を置く二次団体・弘道会が占める。上納金の負担増など弘道会による組織運営に不満を抱えた幹部たち――二次団体・山健組(兵庫)、宅見組(大阪)が今回の分裂を企てたとされている。神戸山口組は、海を渡った淡路島(兵庫)に本拠を構えた。現時点で神戸山口組は指定暴力団に指定されておらず、実態解明が待たれる。
警察庁による2014年末時点の「暴力団情勢」発表数値によると、最大規模の山口組でそれは、1都1道2府40県。ほぼ全国を勢力下におくが、構成員数だけみればピーク時(約2万2000人)から1万人以上減らしている。
また昨夏の分裂騒動以降、離脱した組員も多い。警察庁の正式発表はまだだが、朝日新聞の報道(2月11日付)によると、2015年末時点で六代目山口組の組員数は6000人、一方の神戸山口組は約2800人。目下、激しい引き抜きが展開されているが、両組を足しても1万人を割る。
2014年末における全暴力団構成員は約2万2300人。これは、統計を取り始めた1990年代前半の5分の1にあたる。大きな流れとして、シノギ確保の困難から暴力団離れが進み、構成員の高齢化も進んでいる。ただし、一般市民にとって暴力団の脅威は依然存在する。
2014年の暴力団構成員(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者)の検挙人員は2万2495人。減少傾向とはいえ、傷害2696人、窃盗2296人、覚せい剤取締法違反5966人もの人間が検挙されている。
当局の号令のもと、各都道府県で暴力団排除が進む一方、暴力団側も反発心を見せている。暴力団との接触を断った事業者への襲撃などが報告された福岡では、県警による工藤會(北九州市)の集中取り締まりが行われた。
また、厳しい警察当局の眼を避けるべく巧妙な手口を考案したり、地下に潜行したりする傾向もある。暴力団の状況把握がいっそう困難になっている。
※SAPIO2016年4月号