「幸せは何処にあるのか」──。誰もがつねに考えるそんな大きなテーマについてふたりの女性が語り合った。ひとりは、人生をリセットして「後妻という生き方」を選んだ女性たちをルポした『後妻白書 幸せをさがす女たち』(小学館)を上梓した作家の工藤美代子さん。もうひとりは、タレントでエッセイストの小島慶子さん。2人が「幸せ」について本音で語る。
小島:昨日、私と同じように43才で夫と子供がいて、バリバリ働いてもいる友人とご飯を食べたんですけど、『後妻白書』を読んでいたせいか、お互いなぜ浮いた話がないんだろう、という話題になったんです。夫以外に好きな人ができて苦しい、という話になると盛り上がりそうですが、そんな気配はまったくない。特にその友人は恋がしたいんですね。
工藤:まあ、そうですか。
小島:それなのに、なぜ好きになる人がいないのか。彼女の仮説では、仕事があって子供がいて、このうえ不倫のような面倒くさいことを始めたら、子供にエネルギーが割けなくなる。それで自分が無意識に止めているのではないかと。だから子供が巣立った途端、それが決壊するんじゃないかと言うんです。私も下の子が20才になった途端、欲望がわいてきて急に恋愛体質になるんだろうか、なんて話していたんですよ。
工藤:それはまさに予言的ですね。後妻になった人たちは、みんな決壊していますから。
小島:本に出てくる人たちも、子育て中は「恋が何だか思い出せない」とか言っていたはずですよね。
工藤:そうそう、もともとは恋愛体質じゃない女性たちばかりです。それに関連して、今日は小島さんに伺いたいことがあるんです。小島さんは1972年生まれですよね。私は1950年の早生まれなので、同級生は団塊の世代です。その子供は小島さんぐらいの年代のかたが多いんです。
小島:私の両親は団塊の少し前の世代ですが、まあ、団塊ジュニア世代の先頭組ですね。
工藤:親の世代はバブルの香りを振りまいたような時代を過ごしましたけど、子供の世代は就職が大変で。
小島:大変でした。親から聞いていた話とは全然違って(笑い)。親は実体験に基づいて、どんなに貧乏でも、努力していい学校、いい企業に入れば幸せが手に入ると言っていました。9才上の姉はバブルの波に乗ってまぶしいぐらい幸せな結婚をしたので、私もそうなると思っていたのに…。
工藤:就職氷河期でしたものね。