【マンガ紹介】『おしゃべりは、朝ごはんのあとで。(2)』秀良子/小学館/700円
本コーナーでもたびたび取り上げておりますが、グルメマンガブームが止まらず、まさにおなかいっぱい状態な昨今。それでも、待ってました! と2巻を即買いしたのは『おしゃべりは、朝ごはんのあとで。』。引きこもりがち(自称「ふとん妖怪」)な著者が自腹で朝ごはんを食べに出かけるエッセイマンガです。
このマンガの何が好きかって、それはもう著者・秀良子の「食べっぷり」につきます。──というといかにも豪快な姿を想像するかもしれませんが、さにあらず。もっとずっと切実なお姿なのです。基本、寒いとか眠いとか人見知りとか「負」の状態の著者の体に、選りすぐりのうまい朝食がしみ込み(じゅわっという音が聞こえるよう)、あるいは電流のように駆け巡り、みるみる元気になる…この「ハラハラ→ホッ」のループが癖になるのです。
ホテルでエッグベネディクト(ビュッフェ付き4000円なり)を食べて〈テッテレー〉とファンファーレが鳴り、香川のかまたまやま(かまたま+山かけ)うどんで天使が降臨、北海道のたらばガニサンドで「アイムウィナー」と勝どきをあげ、ニューヨークでは顔面サイズのタマゴサラダベーグルをぎゅむっぎゅむっと噛み〈すべての玉子に…幸あれ…〉とつぶやく。2巻でも1口ごとに生気を取り戻す秀さんがたまりません。
しかし。巻末の描き下ろしで卵かけごはんを食べ比べているのですが、3杯食べて(たった3杯で!?)〈ごる ごる ごる〉とおなかを壊したところで終わっているのです! ああ、これでは「ハラハラ」で止まったまま…秀さん、早急に3巻で「ホッ」を描いてください!
(文/門倉紫麻)
※女性セブン2016年3月31日・4月7日号