歯の「かみ合わせ」を気にしている日本人は少なくない――。というのも、かみ合わせがズレていると老けて見えることもあるからだ。さらに、虫歯や歯周病のリスクも高め、頭痛や寝つきの悪さなどにもつながることがわかっている。
本格的にかみ合わせを治すには、専門的な治療を受ける必要があるが、具体的にどのような治療が行われるのか。かみ合わせ治療に詳しい歯科医の青木聡さんに聞いた。
「主に治療は以下の3つ。【1】矯正のみ 【2】矯正+補てつ 【3】補てつのみ。ちなみに補てつとは、見た目やかみ合わせをクラウンや入れ歯など人工の歯で補う治療です。いずれも骨格やかみ合わせの状態などを検査し、把握してから治療を始めます」
矯正の場合は、1~2年ほどかかり、基本的に矯正治療は、保険は適用外となる。器具代、毎月の治療費、義歯などの補てつ代が発生する。予防歯科を提唱している歯科医の長尾周格さんは言う。
「矯正というと子供がするもの、という考えのかたもいますが、技術も向上し、今は大人も矯正するケースが増えています。矯正のワイヤーが目立つから嫌だという場合は、歯の裏側につけて行うこともでき、費用は当院の場合、通常が70万円~、裏の場合は120万円~です」
決して安い額ではないが、40才の人ならあと約40年以上も使う歯。骨が丈夫であれば50代などでも矯正は可能。長く付き合う歯だからこそ、早めにケアしたいものだ。全身の不調をも治せる可能性もあり、メリットは大きいといえよう。
また、最近は透明なマウスピース型を使い矯正をする方法もある(約30万~40万円)。
治療中気を付けることは、硬いものを食べたり、体が接触したりするスポーツをする際にはマウスガードなどの対策をする必要があるということ。
さらには、歯の周囲に歯垢がたまりやすいということもあるので、虫歯にならないようケアすることも必要だ。
そして、矯正において何より大切なのは信頼できる歯科医を見つけること。
「前述のとおり、虫歯や歯周病も、その根本の原因はかみ合わせ。そのことに言及せず、すぐに抜いたり削ったりする医師は考え物。他の病気のようにセカンドオピニオンを活用してもいいでしょう。
腕のいい歯科医は、あなたのかみクセに合った治療法を提案してくれるはず。審美を専門にする歯科医ではなく、総合歯科や矯正治療を得意とする一生つきあっていけるクリニックを見つけてほしい」(青木さん)
※女性セブン2016年3月31日・4月7日号