マイナス金利で銀行預金などの魅力が失われるなか、国内外の株式や債券に投資するならば、「確定拠出年金」(日本版401k)を活用する手が有効だ。ファイナンシャルプランナーの紀平正幸氏は、「現役世代にとっては大きなメリットになる」とすすめる。
確定拠出年金は、将来の給付額が確定している従来の確定給付年金とは異なり、加入者の運用次第で将来受け取る年金額が変わってくる。勤務先の企業が導入する「企業型」と自営業者や勤務先で企業年金を導入していない会社員が金融機関で加入する「個人型」があり、掛け金の上限は企業型が月5万5000円、個人型が6万8000円となっている。
確定拠出年金の運用商品には預貯金、公社債、投資信託、国内外の株式、保険などがあり、加入者が配分を自由に選べる。
「最大のメリットは、掛け金が全額所得控除されること。生命保険の個人年金保険なども保険料は一部控除されますが、確定拠出年金は個人型はもちろん、企業型でも本人が拠出している分は全額非課税となります。
例えば、年収(課税所得)500万円の場合、所得税と住民税を合わせて約150万円が課税されますが、年間66万円を拠出すれば、全額控除によって約20万円の節税となります」
前述の通り、運用商品は自由に選べるが、実際には約4割が預金といわれる。
「税制面のメリットを最大限に活かすためには、金利がほとんどつかない預金ではなく、多少リスクをとってでも資産を増やしたい。
そこでまずは国内外の株式や債券などに幅広く分散する投信『バランス型ファンド』をお勧めします。値動きの異なる投資先を組み合わせて、外貨に投資する効果も見込めるうえ、一般的な投信に比べて手数料も低く抑えられているので、使わない手はない」(紀平氏)
あくまで年金である以上、60歳以降まで引き出せないが、確定拠出年金は基本的に転職しても持ち運べる。
※週刊ポスト2016年4月8日号