中国の習近平国家主席は3月中旬、北京で開催した中国人民政治協商会議(政協)の中国民主建国会と中華全国工商業聯合会の合同分科会に出席した。その場では、「あなた方の大多数が成功したビジネスマンであり社会的にも知られた著名人であり、あなた方の言動は社会に大きな影響を与えるだけに、そのイメージを常に正しく保つように気を付けてほしい」などと注意を与えた。
習氏がビジネスマンを前にして、腐敗問題を意識した発言を行うのは極めて異例なだけに、反腐敗運動を今後も継続していくことを強調する狙いがあったとみられる。国営新華社電が伝えた。
中国民主建国会は中国民主諸党派の一つで、 1945年、重慶で民族資本家が中心となって結成。中華全国工商業聯合会は中国民主建国会傘下の団体で、中国の民営企業の経営者らが構成メンバーの中心となっている。いずれも経済を中心にした組織で、これまで中国の最高指導者が会議に参加することは初めてとみられる。
習氏はそのなかで、「豊かなビジネスマンは中国共産党への忠誠を尽くし、社会主義の道に従うべきだ。社会主義の核心的な価値を大事にして、祖国と人民と党を愛すべきだ」と訓示して、むやみに経済活動による利益を追い求めず、国家に忠誠を誓えとの趣旨の発言を行った。
さらに、習氏は「億万長者はチャリティ活動に積極的に参加すべきであり、政府の貧困撲滅キャンペーンにも協力して、それぞれの社会的な責任を果たすべきだ」などと述べるとともに、「民営企業の経営者は法を順守し、ビジネス活動に一点の曇りもあってはならない」と強調。習氏が現在、展開している反腐敗運動への理解を求めた。
北京の外交筋は「習氏は経済政策として、今後、大型国有企業の合併による中国経済の強化を目指しており、西側の経済専門家が主張する国有企業の民営化の促進や、創造性のある経済活動を否定していることから、今回の会議への参加は西側の先進諸国をけん制する狙いもあるとみられる」と指摘する。